人間椅子、「バンド生活三十五年 怪奇と幻想」ツアーファイナルで烈しく大団円
人間椅子が11月18日、東京・Zepp DiverCityにて、秋のワンマンツアー「バンド生活三十五年 怪奇と幻想」のファイナルを迎えた。オフィシャルレポートを掲載する。 【画像】人間椅子、ツアーファイナルの様子(全8枚) 10月末より全8公演開催のこのツアーは、各地で大盛況。全国のファンの前でデビュー35年のロック・バンドの神髄がふんだんに披露されてきた。そんなめでたい千秋楽といえども、いつも通り、ステージ上には必要最小限の機材のみという潔さ。メンバーの登場を今か今かと待ちわびるオーディエンスの背中からは独特の緊張感が漂っている。 定刻の午後7時ちょうどに客電が落ち、雰囲気たっぷりのSE「新青年まえがき」が鳴ると、場内の熱気は急上昇。割れんばかりの手拍子と歓声に導かれながら、和嶋慎治(G&Vo)、鈴木研一(B&Vo)、ナカジマノブ(Dr&Vo)の3名がステージに歩み出る。 まずは挨拶代わりの猟奇的な「鉄格子黙示録」で人間椅子の世界へと誘うと、続く「暁の断頭台」の迫力の重低音がフロアを塗りつぶしていく。今宵の彼らも演奏・歌唱ともに息ピッタリ。楽曲は徹底的にヘヴィにもかかわらず、その轟音を浴びれば立ちどころに元気になってくるのだから、不思議だ。 35周年記念ツアーゆえ、今夜は「あれ? こんな曲あったっけ?」や「この曲、懐かしい!」を軸とした趣向になるとメンバーは予告。鈴木が冗談交じりに「もう二度とやらない曲も入ってるかも」とこぼす場面などが微笑ましかった。 「愛の言葉を数えよう」では和嶋がジミヘンばりの歯ギターを披露したり、「埋葬蟲の唄」では3人が統率のとれた変態的フレーズを連発したりと、オーディエンスは目と耳が忙しい。序盤からレア曲が惜しみなく披露されたわけだが、次の曲のイントロが鳴る度にフロアからは歓声ともため息ともつかないような声が飛び交うのが印象的だった。極めつけは和嶋が高校時代に作った「夢女」だろう。オリジナル・アルバム未収録で、先頃リリースされた映像作品『バンド生活三十五年 怪奇と幻想』に貴重映像として収録された楽曲が目の前で再現されると、この瞬間に立ち会えた観客は感無量になっていた。そこから不気味な大曲「芋虫」へと連結し、ある種の絶頂へと至る技も見事だった。