「レアメタル・シャーク」をブラジル沖で発見、最新報告 高まる海洋汚染の懸念
サメはレアメタルをどのように摂取しているのか?
海洋環境のレアメタルに関するデータが少ないこと、イタチザメの動きが予測不可能なこともあり、これらの元素をどのように摂取しているかは謎のままだ。 サメには回遊性の種と同じ海域からあまり出ない種がいるが、イタチザメは両方の特性を持っている。生涯同じ海域にとどまる個体もいれば、突然大陸間を移動する個体もいる。 「ほかのサメのようなパターンがないため、イタチザメの研究は容易ではありません」とウォズニック氏は話す。 そのため、ブラジル南岸沖で捕獲されたイタチザメが、そこでレアメタルを摂取しているのか、それとも、パラナ州沖に来る前、別の場所でレアメタルを摂取したのかを判断するのは難しい。 いずれにせよ、イタチザメの体内から発見されたレアメタルについては、2つの人為的な供給源が考えられる。まず、内陸で採掘されたレアメタルが川から海に流れ込んでいるというものだ。確かにあり得るが、「この地域ではその可能性は低い」とウォズニック氏は考えている。それよりも、パラナ州の沿岸地域は人口が多く、野放し状態になっているテクノロジー機器の廃棄に関連している可能性のほうが高い。 イタチザメはえらから直接レアメタルを取り込んでいるか、汚染された獲物を大量に食べているのだろう。ウォズニック氏によれば、イタチザメはブーツやナンバープレート、タイヤなど、あらゆるものを食べることで知られている。廃棄された携帯電話など、レアメタルを含む機器も食べている可能性があるという。 最後に、レアメタルの一部は人の産業からもたらされたものでない可能性もある。レアメタルはもともと自然界に存在し、地殻に比較的多く含まれており、「水中に溶け出しただけかもしれない」と生物学者のマーク・アミヨ氏は述べている、アミヨ氏はカナダのモントリオール大学に所属し、カナダ政府の助成を受けて生態毒性学と地球変動の研究に取り組んでいる。今回の研究には参加していない。