前田栄治ちばぎん総合研究所社長

（ブルームバーグ）： 元日本銀行理事の前田栄治ちばぎん総合研究所社長は、日銀による追加利上げについて、2025年１月の金融政策決定会合を中心とした今年度後半に実施され、その後は半年に１回程度のペースがイメージされるとの見解を示した。８日のインタビューで述べた。

前田氏は米経済動向、国内サービス価格の動向、25年春闘の方向性の三つを金融政策運営上のポイントに挙げ、「これから次第に判明していくものであり、次回の利上げのタイミングは来年１月を中心に年度後半に１回のイメージだ」と語った。状況次第では12月や来年３月もあり得るものの、前回の利上げから半年が経過し、経済・物価情勢の展望（展望リポート）を示す１月会合の可能性が最も高いという。

その先の利上げペースは半年に１回程度を想定し、日銀の見通しに沿って経済・物価情勢が推移すれば「25年度下期、26年１月くらいに政策金利は１％程度となるイメージだ」と指摘。経済・物価に対して中立的な名目金利の水準（中立金利）は、日銀スタッフの推計である１－2.5％程度を「頭の片隅に置きながら、利上げによる経済・物価・金融への反応を探っていくという現実的な対応」になるとみている。

日銀は７月会合で政策金利の無担保コール翌日物金利を0.25％程度に引き上げた。その後の金融市場の混乱や円安修正、米中など世界経済の不透明感の強まりなどを踏まえ、植田和男総裁は政策判断に「時間的な余裕はある」との考えを表明。９月会合前にブルームバーグが実施したエコノミスト調査では、12月を筆頭に来年１月までの利上げを９割近くが予想しており、前田氏の見解はこれに沿ったものだ。

30、31日の次回会合では、最大の不確実性と位置付ける11月の米大統領選挙の影響を見極める必要性や前回利上げから３カ月しか経過していない点を踏まえれば、「利上げは、ほぼないだろう」と予想。足元までの経済・物価情勢はおおむね日銀の見通しに沿っているとし、新たに公表される展望リポートでは、26年度までの見通し期間後半には２％の物価安定目標を実現するシナリオも維持されるとみている。