【ヤマトよ永遠に】注目のライバル関係に迫る!「小野大輔×古川慎」
若きライバルの登場
――小野さんは今回、古川さんと共演すると聞いてどう感じましたか。 小野 まず、自分は原作のストーリーは知らない状態で収録に臨むようにしています。そして、すべて終わった後にご褒美として原作を観るというのがこの12年間の習慣でした。だから今回も、当時の『ヤマトよ永遠に』がどんな物語を描いたのか、古川君が演じるアルフォンがどういう人物なのか、現段階では知らないんです。つまりアルフォンは未知の存在。 ただ、そんな“未知の存在”は今まではベテランの方が演じていらっしゃったんですよ。ガミラスならデスラーは山寺宏一さん。ガトランティスならズォーダーは手塚秀彰さん。あまりに強大な“敵”として立ちはだかってくださったので、僕も自分を奮い立たせて仲間と一緒に戦ってきました。 でも今回は、それが若い古川君――意外でもあったけれど、でも、そこに絶対にメッセージが隠されているはずだ、とも思いました。それに古川君のお芝居って、個人的に「自分と似ている部分もある」と勝手に思っているところもあります。他の作品で兄弟役を演じたこともありましたし。そんな古川君が、ここにきてライバルか……面白い! と。 古川 (笑)。 小野 これまでとはまた違った意味で面白い、そして、絶対に負けないぞ! と思いました。 古川 恐縮です。僕としては、ライバルが小野さんだなんて勝てるわけないじゃん、という気持ちですが……。 小野 いや、そんなことないでしょう(笑)。 古川 僕自身も「この立ち位置って、もっと先輩じゃないかな?」と思ったんですよ。なぜ僕がアルフォンというキャラクターを任され、小野さん演じる古代と相対することになったのか、アフレコが始まるまではわかりませんでした。これは僕が感じていることなので総監督の福井晴敏さんの意図とは違う可能性もありますが、アルフォンがどういう成り立ちの人物か説明していただき、実際に演じていく中で「なるほど、だからアルフォンは自分くらいの年代なんだ」と思った瞬間がありました。まだモヤがかかったような状態ではありますが、古代とアルフォンを対比させることによって見えてくる部分が何かしらあるんだろうなと考えていて、小野さんがおっしゃった「似ている」という部分も、もしかしたらそこを加味してのものだったのかな……というのが、あくまで現時点の僕の考察です。 小野 ……早く答えが知りたいね。聞いていて思ったけれど、やっぱり僕は“知らない状態”で演じるという立ち位置で良かった。古川君が福井さんと一緒にしっかり(アルフォンの)バックボーンを構築してくれているから、僕ははそれを知らないほうが楽しめるし、いずれ「本当のこと」を知った瞬間に心を動かしたい。心が動いた結果、キミをぶん殴るかもしれない(笑)。 古川 ははは(笑)、その時に僕はどんな表情をするんだろう? ●大人になった古代進の苦悩● ――『宇宙戦艦ヤマト2199』の若くて血気盛んな姿、責任を自覚し葛藤する『ヤマト2202』、少し大人になって若者を見守った『ヤマト2205』と、これまでのシリーズでも古代進は様々な成長・変化を見せました。今作『ヤマトよ永遠に REBEL3199』の古代は小野さんの目にはどう映っていますか。 小野 今のところの印象で言うと、今回の古代は考えていることを表に出さないんですよ。今までだったら、もう少しわかりやすく感情や考えを表に出していた気がします。成長して大人になったからこそ表に出さない、あえて抑えて言葉にしないという部分が多くなって……でも、今回はそれが弊害になっている気がします。周囲の人に、彼が何を考えているか伝わらないんですよ。 ――平静を装うから葛藤が理解されない。 小野 言葉を発さずにただアゴを引いたり、下を向いたり、目を逸らせたりというシーンが多くて。そういった場面の収録で「アドリブを入れますか、入れませんか」と聞くのですが、入れなかったりするんです。 ――本当に無言、沈黙なんですね。 小野 そう。役者としてはそれが、ちょっと辛かったりします。僕自身は古代進の気持ちはすべてわかっているつもりでやっていますが、だからこそ辛いというか。「大人になってしまったなぁ」と感じるシーンもあります。そうだ、最初のアフレコで福井さんにも「どん底まで墜ちてもらいます」って言われたんですよ……これまでの旅よりも!? って思いました(笑)。 ――今までもかなり辛い目には遭っていますよね。 小野 でも、その逆境、苦境よりもさらに下に墜ちてもらいます、と。そう聞いて僕は、今回の古代は悩んで、悩んで、相当に格好悪いところまで行くんだろうなと予感したんです。でも、それでいい。それも含めて古代進だし、そういう古代を演じたいと思いました。