耳たぶの深いシワ…心疾患を示す「フランクサイン」かも 見つけたら生活習慣の見直しを
日常生活ではまじまじとみる機会が少ない耳。実は、健康状態を表すサインが隠されていることをご存知だろうか。耳たぶの内側から外にかけて深く入ったしわは、心疾患の可能性を示す「フランクサイン」と呼ばれている。
フランクサイン=心臓の血管が細い可能性
福井大学医学部教授の夛田浩医師は「フランクサインがあると心臓の血管が細く、狭心症や心筋梗塞などの病気が多いといわれている」と指摘する。 1970年代、アメリカの医師・サンダース・T・フランク医師が、耳たぶのしわと冠動脈などの心疾患の関係について研究結果を発表した。彼にちなんで「フランクサイン」と呼ばれるようになった。 「フランクサインが無くても心臓の病気を持っている人がいるし、サインがあるからといって調べるわけではないが、患者の中に、ごくまれに深いしわがあることがある」(夛田浩医師)
血管の加齢による変化が耳にも…
「なぜ耳たぶにしわができると心臓の病気が増えるのか明確な説明は無いが、例えば全身の動脈硬化、血管の加齢による変化のようなものが心臓に起きると、同じように耳の組織にも起きているという説もある」という。 また夛田医師によると、“体のサビ”をつくる大きな要因とも言われる「活性酸素」の影響でフランクサインが出ると考えられている。
食生活の欧米化が影響か
「海外の報告では約60~70%の人にこのサインがあったと言われているが、日本では健康診断の結果からみると14%で、頻度としては低い」(夛田浩医師) 現在は海外ほどではないものの、最近では日本人の食生活が欧米化していることから、日本人にもフランクサインが出る頻度が増えていく可能性があると、夛田医師は指摘する。 「生活習慣を改めれば改善できる。例えば、塩分をとりすぎていると血圧が上がりやすい、甘いのもを食べすぎていると糖尿病になりやすいように、生活習慣が病気をきたす原因になっている可能性がある」(夛田浩医師) フランクサインのある人が必ずしも心疾患を患っているわけではない。また、心疾患がある人に必ずしもフランクサインが出るわけでもない。ただ、医学会による研究で“フランクサインと心血管疾患に関連性はある”と報告されていて、確実な指標であるかについては議論が続いている。
1つの指標として耳もチェックを
「ある程度パッと見てわかるサインなので、耳にしわがある人は心臓の血管が細いかもしれないというのは覚えておいて、もしあれば生活習慣の問題が無いかを調べることが大事」(夛田浩医師) 日頃から耳をチェックしておくことで身体のSOSに気付けるチャンスが増えるかもしれない。
福井テレビ