ウマヅラハギの回遊ルート把握 県水産研究所、高性能タグ付け放流 漁獲量減少でデータ調査
県水産研究所(滑川市)は15日、富山湾のブランド魚「ウマヅラハギ」の回遊ルートを調べるため、電子標識を付けた12匹を朝日町沖の富山湾で放流した。県内の漁獲量が昨年、95トンまで落ち込み、過去10年間の平均415トンと比べて約77%減少する中、持続可能な資源管理に役立てる。 【写真】電子標識を付けたウマヅラハギ 成魚が遊泳する深さと水温を、従来の1時間ごとから1分ごとに記録できる高性能タイプの標識に変更し、より詳細なデータを把握する。 放流魚は魚津漁港で水揚げされた体長22~30センチ(平均27センチ)の成魚で、電子標識は従来の10グラムから2・5グラムに小型化している。目印の標識を装着した25匹と合わせた37匹が、朝日町の沖合約3キロで調査船はやつきから放流された。 ウマヅラハギの調査は2022年1月に始まり、今年で4回目となった。これまでに魚津市沖の富山湾で放流された電子標識付き計52匹のうち、19匹は新潟県長岡市から珠洲市の沖合で再捕獲された。データ分析の結果、ウマヅラハギは冬に水温が低下すると寒さを避けて富山湾に南下し、春に水温が上がると、北上回遊する可能性が明らかになっている。 県水産研究所の瀬戸陽一副主幹研究員は「知見を積み重ね、適切な資源管理に結びつけることを期待している」と話した。 ★ウマズラハギ 富山湾の冬を代表する魚の一つで、氷見、新湊、岩瀬、四方、魚津で漁獲される。面長の顔に、おちょぼ口の独特な見た目に特徴があり、濃厚な肝は人気が高い。県内では、漁獲量の半分以上を魚津が占め、25センチ以上の大型魚を「魚津寒ハギ如月王」としてブランド化している