名瀬測候所、130年ぶり移転 新庁舎で運用開始 奄美市名瀬
名瀬測候所は5日、鹿児島県奄美市名瀬矢之脇町にある名瀬第二地方合同庁舎内に開所した新施設の報道機関向けの見学会を開いた。新施設は11月28日に運用を開始しており、見学会では観測機器や予報現業室などを公開。木村誠治所長は「地域の防災拠点として十分貢献できるよう、他の入居官庁と連携強化し、測候所の重要な役割である災害の軽減、防止に向けて職員一同力を合わせて貢献していきたい」と語った。 名瀬測候所の移転は旧庁舎の老朽化や防災官署の集約化などが理由で、約130年ぶり。第二庁舎は鉄筋コンクリート造6階建てで、名瀬測候所は5階に入居した。 屋上には風向風速計や日射計、日照計が設置されているほか、庁舎の外にも気象観測機器が複数設置された「露場(ろじょう)」がある。 また、名瀬港マリンタウン緑地公園側の敷地内にはヒカンザクラやアジサイなどが移植されており、成長に問題がなければ今後、標本木になる予定という。 新施設について木村所長は「最近の激甚化する気象現象のもととなる東シナ海の水蒸気が多い地域の最前線の観測所。近代的な設備の庁舎になり、最新機器導入に対応できるほか、スペースも広く、効率的効果的な作業が期待できる」などと話した。 名瀬測候所は1896年11月に中央気象台大島測候所として地上気象観測を開始。翌年3月に現在の旧庁舎が建つ名瀬港町に移転した。戦時中の爆撃で庁舎が消失したこともあったが100年余り同じ場所で予報や観測を続けた。