「全財産2,000円」から“靴磨き世界大会 初代チャンピオン”へ…長谷川裕也「2,000円でできる商売を考えて閃いたのが“靴磨き”でした」
山崎怜奈(れなち)がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。(ダレハナ)」(毎週月曜~木曜13:00~14:55)。5月29日(水)の放送は、靴磨き専門店・Brift H(ブリフトアッシュ)代表で靴磨き家の長谷川裕也(はせがわ・ゆうや)さんをゲストに迎えお送りしました。
◆初代王者が解説!「世界靴磨き大会」
1足1時間かけて丹念に磨き、年間2,000~3,000足を磨いているという長谷川さん。靴磨きを始めたのは20歳のときで、無一文を脱却しようと東京・丸の内の路上で始めたそう。「当時は日雇いのアルバイトを転々としていたんですが、2~3日仕事が入らず全財産2,000円くらいになってしまって。そのお金でできる商売を考えて閃いたのが靴磨きでした」と振り返ります。 それから4年間、路上で靴を磨き続けた後、日本初の靴磨き専門サイトを立ち上げ、2008年には東京都 青山に靴磨き専門店・Brift Hをオープン。その後、2017年にロンドンで開催された靴磨きの世界大会で初代チャンピオンに輝きました。 長谷川さんは大会前から優勝する自信があったそうで、「世界でも自分よりも靴を磨いている人はいないだろうと思ったし、当時から“世界一靴磨きがうまい!”と自分でも言っていたので。名実ともに証明するチャンスだと思って出場しました」と振り返ります。 この大会では、出場者全員が同じ靴を審査員の前で20分間磨き、できあがりの光沢感とグラデーション、磨いているときの所作などを審査。また、使う道具は統一されていますが、“磨き布”のみ持参が許されているとのこと。ちなみに、審査項目のグラデーションは、つま先とかかとをメインに光らせていくため、そのあいだの部分を“いかに違和感なくバランス良く磨けるか”ということだそうです。
◆“世界一の靴磨き”をスタジオで実践!
長谷川さんによると、国によって靴磨きにも違いがあるそうで「ヨーロッパは靴を染めたり、芸術的な感じで磨いたり、アーティストみたいな感じ。日本もそうなんですけど、靴磨きが文化・芸術に近づいてきている」と解説します。 また今回は、長谷川さんが普段から使っている仕事道具を持参いただき、特別にスタジオで靴磨きを披露してくれることに! まずおこなう作業は“汚れ落とし”。毛足が長い馬の毛のブラシを使ってほこりを取り、クリーナーで革の表面についている汚れや古いクリームをとって、革をスッピン状態に仕上げます。 続いては、皮肌のコンディションを良くするためにクリームで栄養補給をおこないます。「皮に必要な栄養分は大きく分けて“水分と油分”の2つです。革は放っておくと乾燥し、固くなって最後には割れてしまうので、しっかり保湿することで(革の)寿命を延ばします」と解説しながら、革の表面だけでなく、短くて硬めの豚の毛のブラシを使って革のなかに染み込ませていくようにクリームを塗っていくと、「もう見た目が違う! しっとりしている!」とビックリするれなち。 そして、クリームを馴染ませたら、革の表面に残ったクリームを乾拭きで拭き取ります。基本的には、ここまでが“シューケア”という作業で、長谷川さんは「靴を長持ちさせるために、最低限やっていただきたいケアです」と話します。 ここからは、ワックスを使って靴を光らせていく“シューシャイン”という作業へ。“ワックスを塗って水を含ませた布で拭き取る”という作業を繰り返すことで革の表面に膜ができ、エナメルのように美しく輝くそうです。 時間の関係でこの日は一部分のみ磨いてもらったものの、磨かれた靴を見たれなちは「え!? すごい!! 色まで違って見えるし、買ったときよりいいんじゃないですか! これはもう芸術です!」と感動しきりでした。 (TOKYO FM「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。」2024年5月29日(水)放送より)