政治資金問題で自民に逆風続く、与党過半数割れなら政策停滞も-衆院選
(ブルームバーグ): 衆院選(定数465)は27日の投開票日に向けて後半戦に入ったが、報道各社の世論調査によると政治資金問題で自民党への逆風は続いている。仮に自民、公明の与党で過半数(233議席)を割り込めば政局は不安定化し、経済財政運営や日本銀行の金融政策にも影響が生じかねないとの見方が市場関係者の中から出ている。
朝日新聞は21日付朝刊で、与党の過半数維持は微妙との情勢調査を報じた。19、20両日に行った世論調査で投票先を決める際には自民党の裏金問題を54%が「重視する」と回答。石破茂内閣の支持率は33%にとどまり、不支持率が39%で上回っているという。共同通信が同時期に行った調査では、比例代表の投票先に自民党を選んだ人は22.6%で1週間前の調査より3.8ポイント減らした。
石破首相は長年、世論調査の人気が高く「選挙の顔」を期待されて総裁選に勝利したが、就任直後の内閣支持率は歴代政権と比べ低い水準となった。仮に衆院選で与党が過半数割れすれば、政治資金問題で非公認とした当選者の追加公認や連立政権の枠組み拡大などで多数派を確保する必要に迫られる。首相の求心力は大幅に低下し、政策運営が停滞する可能性がある。
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは、与党が過半数割れした場合の「影響は大きく、政権の存続が不透明になる」と指摘した。基本的には政治資金問題で非公認とした当選者に協力を求めるものの、足りなければ連立の枠組み拡大を模索する可能性があるとした。いずれも来年夏に参院選が控えていることから財政健全化は打ち出しづらく、金融政策のかじ取りも難しくなるとの見方を示した。
石破首相は衆院選後に策定する経済対策で、昨年度を上回る規模の補正予算を編成する考えを表明している。ただ、防衛増税の開始時期については年末の税制改正論議で決着させたい考えを示しており、自民党内で増税に反対する議員との調整が必要になる。