「匿名性否定ならゆりかご成立しない」慈恵病院が熊本市に公開質問状
熊本朝日放送
熊本市の専門部会がまとめたこうのとりのゆりかごに関する報告書の内容をめぐり、慈恵病院の蓮田健院長が公開質問状を提出しました。 19日、熊本市中央区にあるウェルパルくまもとを訪れた慈恵病院の蓮田健院長。熊本市などに対し公開質問状を提出しました。 蓮田院長 「同意できない部分が少なからずございました」 乳児の遺棄や殺害を防ごうと親が育てられない子どもを匿名でも受け入れるこうのとりのゆりかご。蓮田院長が問題視しているのは、その運用を検証する熊本市の専門部会がまとめた報告書の内容です。 実親の匿名性について、子どもの人権や養育環境を整える面から「最後まで匿名を貫くことは容認できない」とされました。 今月13日に病院で開かれたカンファレンスでは、この専門部会の指摘が、ゆりかごを訪れた女性の行動に影響を及ぼしたケースが紹介されました。 蓮田院長 「女性がゆりかごの横にあるブザーを押しました。それに職員が反応して駆け付けたたところ、赤ちゃんを抱えた女性がいて保護しました。私たちからしますと、ブザーを押す女性は身元を明かして、色々な相談をしたい女性だという認識でいたんですけれども、よくよく話を伺ってみるとそうではなかった」 女性はインターネットで専門部会の報告書の内容を知り、どうしていいか分からなくなったと話したということです。 蓮田院長 「匿名性を保障せずに女性、赤ちゃんを救うことができるのか、果たして接触することはできるのか。女性たちは応じません、接触すら拒みます。(匿名性の)前提を否定なされば、ゆりかごの試みは成立しなくなる」 公開質問状では、ゆりかごや内密出産における実親の匿名性を容認するか、大西市長に回答を求めるほか、専門部会には、ゆりかごや内密出産の代わりとなる方法などについての回答を求めています。 熊本市は「委員と相談しながら対応してまいりたい」としています。