〝二刀流ハードラー〟豊田兼が目指すのは…日本史上初の障害2種目五輪切符 日本選手権/陸上
陸上・日本選手権第2日(28日、新潟・デンカビッグスワンスタジアム)パリ五輪代表選考会を兼ねて行われ、男子400メートル障害決勝は五輪参加標準記録を突破していた豊田兼(21)=慶大4年=が日本歴代3位の47秒99で初優勝。日本陸連の選考規定を満たして初の五輪代表入りが決まった。女子1500メートル決勝は東京五輪8位の田中希実(24)=ニューバランス=が4分1秒44で5連覇。参加標準記録も突破し、5000メートルに続いて五輪代表に内定した。女子やり投げは昨年の世界選手権覇者でパリ五輪代表の北口榛花(26)=JAL=が62メートル87で制した。 100%の力を出し切り、初の五輪切符をつかんだ。男子400メートル障害決勝で豊田が、日本史上3人目の48秒切りとなる大会新の47秒99で初優勝。さわやかな笑みを浮かべた。 「素直にうれしい。48秒台前半が目標の中、まさか47秒台に入るとは思っていなくて。パリ五輪(代表)を勝ち取ることができて満足です」 参加標準記録(48秒70)を突破済みで、優勝で五輪代表に即内定するレース。独特の緊張感の中、前半から積極的に飛ばして250メートル付近でトップに。195センチの長身を生かした大きな走りでラスト100メートルは一人旅。「前半から飛ばす想定通りのレースができた」と、自己ベストを0秒37縮めた。 フランス出身の父と日本人の母を持つ。母の影響で小2で陸上を始め、東京・桐朋中では四種競技が専門。都内屈指の進学校の桐朋高に内部進学後、本格的に障害種目を始めた。慶大4年の今は110メートル障害も高いレベルでこなす異色の〝二刀流ハードラー〟だ。 中学1年から6年間、豊田を指導した同高陸上部顧問の外堀宏幸さん(48)は「当時からパリ五輪に出たいと話していた」と振り返る。勉強と両立しながら、300~500メートルを何本も走る練習。体質もあり、毎度のように吐くほど自分を追い込んだ。地道に積んだ練習が実を結んだ。 目標だった父の母国開催の五輪。まずは本命の400メートル障害で決めた。29日には男子110メートル障害の予選に挑戦する。出場試合数不足で五輪ランキング外のため、今大会での標準記録突破と2位以内が必要となる。