経営危機サガン鳥栖・竹原社長が謝罪と涙の誓い「クラブ消滅、降格ない」…なぜ100人緊急サポミーティングは荒れなかったのか?
民間や政府系の金融機関からの借り入れや、コロナ禍に備えてJリーグが新設した「リーグ戦安定開催融資規定の時限的特例措置」を活用する青写真が描かれている。 しかし、借金ではないとはいえ、前年度に巨額の赤字を計上した企業に対して、金融機関が融資を行うハードルは高いと言わざるを得ない。3億5000万円が上限となるJリーグの時限的特例措置を含めて、借り入れができたとしても同時進行で2021年度以降の返済も考えていかなければいけない。前途は険しいが、それでも一歩ずつ、愚直に前へ進んでいかなければ未来を開くことはできない。 クラブの収入を増やしていく施策として、ミーティングに参加したサポーターからはクラウドファンディングで寄付を募ってホームの駅前不動産スタジアムのピッチに広告を出すプランや、サポーターがサガン・ドリームスの株式を購入して経営に参加していく形態も提案された。冒頭で記した竹原社長の涙腺が決壊しかけた瞬間は、クラウドファンディングの質問に答えているときだった。 「ファンのみなさま、スポンサーのみなさま、そして選手たちにも迷惑をかけていることをあらためて謝罪いたします。そして私自身も、もう一度取り組んでいきたいと思っています」 今回は100人限定のミーティングだったが、日本中で「ステイホーム」が合言葉となっているゴールデンウィーク中に、さらに多くのサポーターとオンラインで向き合いたいと竹原社長は前を見すえる。 クラブ名称のサガンには県名の「佐賀」にちなむとともに、砂岩のような小さな粒が集まって岩になることを、責任企業をもたない地方の小クラブに関わる全員が力を合わせていく姿にダブらせる意味が込められている。経営危機に直面したいまだからこそ、赤字決算を受けて急きょ開催されたサポーターミーティングは、クラブの原点に返る思いが共有されていく再出発点になるはずだ。 (文責・藤江直人/スポーツライター)