中学国語で点を取る「読解」のコツとは?「環境問題や多様性」が注目テーマ、押さえておきたい作者や推薦図書も紹介
努力で身につく力、受け身では身につかない力
塾講師を経て1987年に国語専科教室「内藤ゼミ」を開設し、小学3年生から中学生に国語を教え続ける内藤俊昭氏。彼のもとには国語が苦手な中学受験生だけでなく、国語力をつけたい小学生がぞくぞくと押し寄せるという。子どもたちの国語力をアップさせる秘訣や、中学受験における近年の国語の傾向、近著『雨が降ってきたので、カサをさした」が書ければ中学受験は突破できる!』に掲載されているおすすめの勉強法を聞いた。 【画像で見る】ひとえに「明るい感情」といっても、その中には実にさまざまな感情がある。 最近の中学受験では、すべての教科において「問題を読み取り理解する力」の必要性が増している。「国語力」について、1987年から国語専科教室「内藤ゼミ」を運営する内藤俊昭氏は、「国語力には、思考力・読解力・文章力・語彙力など、さまざまな能力が含まれています。中心となるのが思考力で、すべての土台として必要なのが語彙力。そこに読解力や文章力が加わることで学力が上がると考えています」と語る。 「中でも文章力は、まねることで育ちます。難しい言い回しを作文に使おうとするのは、文章力が伸びる前兆。例えば小学校中学年くらいの子が、『○○と言わざるを得ない』を『言わざるおえない』と書くことがありますが、これはどこかで耳にした言葉をまねしている証拠です。間違いがあっても、その意欲を認めてあげましょう」 また、「語彙力は努力次第で必ず伸びる」と内藤氏。語彙力を増やすタイミングは早ければ早いほどよく、学習におすすめなのは4コマまんがの『ことわざ辞典』だという。例えば“目がない”という慣用句は本来人間には使わないが、「目がない=大好き」と覚えてしまうと、「僕はクラスの○○さんに目がない」と誤用してしまう。その点、まんがなら食べ物などのイラストと共に解説されるので、正確な使い方が自然と頭に入る。 「すき間時間に読むだけで、間違いなく語彙力アップにつながります。中には人気キャラクターのシリーズもあるので、子どもが喜びそうなものを選んでみてください」 語彙力が努力で伸びる一方で、内藤氏は「思考力は別物。子どもが受け身では伸びませんし、親は見守ることしかできません」と断言する。 「思考力はいわば『賢さ』です。脳は自分で積極的に考えたときに活発に動くため、親が『考えなさい』と促しても仕方ありません。親や教師が『こうでしょ』『こうやるのよ』とすべて教えながら指導するのは、腕を引っ張って無理やり登山させるのと同じです。思考力をつけるには、子どもが思考するのを「待つ」しかありません。子どもはそれぞれ伸びる時期が違います。中学受験前までに伸びなかったのならば、その子が伸びる時期は高校受験のタイミングかもしれません」 勉強は楽しいだけでなく、苦しい部分もある。40年以上子どもたちを見続けてきた内藤氏は、「物事に集中できる子は成績が伸びる」ということを実感しているという。中学受験を乗り切るには、学力以前に「意欲」や「忍耐力、持続力」がカギとなるそうだ。 「内藤ゼミでは、小3から小4あたりで漢字の問題を一気に100題解く機会を設けています。黙々と100題書き切れるのは、20~30人のなかでせいぜい2、3人。この1割の子たちは中学受験をはじめ、高校や大学受験でも非常に優秀な成績を収めているのです」 一方で、集中力が続かず10題解くのも難しい子もいる。一度消しゴムを使うと、そこから消しかすで遊び始めたり、机に置いた鉛筆をいじり始めたりするのだ。 「家庭では、まず30題を集中できるかどうかを試してみるといいでしょう。最後まで鉛筆を置かずに解けたらすばらしいです」と内藤氏。