<球児よ、大志を抱け>センバツ クラーク記念国際/下 「2本柱」切磋琢磨 勝利へ、カギは「継投」 /北海道
「グラウンドではライバル。負けたくない」。昨秋の全道大会でチームを支えたエース左腕山中麟翔(りんと)(2年)と、本格派右腕辻田旭輝(あさひ)(同)。マウンドで互いを認め合う2人は、飛躍の春に向けて成長の階段を駆け上がっている。 佐々木啓司監督(65)は初優勝した昨年秋の全道大会の勝因の一つとして、迷うことなく「投手力」を挙げた。投手を中心に守りの土台を固め、要所で打線が集中打で得点する「守りから攻めという典型的な流れができた」と振り返る。 全道大会で山中は、直球や多彩な変化球で25回3分の2を投げ、防御率1・05。辻田は140キロを超える直球を柱に、14回3分の1で25奪三振した。山中は「辻田が試合でいい投球をすると味方でも悔しい。味方なのにそう思ってしまう」。一方、辻田も「山中はコントロールが良く、打者のタイミングを外して試合を作るリズムがすごい。負けている部分もあるけど、真っすぐの勢いは負けていない」と、お互いに刺激を与え合っている。 この冬、2人はさらなるレベルアップを誓う。昨年11月の明治神宮大会で先発した辻田は硬いマウンドに苦戦し、五回までに4失点した。「マウンドに上がった瞬間、雰囲気や空気が変わり、体が重くなった。でも、フォークボールや内外角を突いた直球は通用した」と課題と成果を口にする。 2番手の山中は「直球も変化球も通用し、早く甲子園で試合がしたくなった」と手応えを感じた。その一方で、「後半の試合は球のキレやスピードが落ちた。一大会を投げ抜く体力がなかった」と昨秋の全道大会で実感。いまはスタミナ強化などに取り組んでいる。 高校野球は投手の健康を守るために球数制限が設けられ、トーナメントを勝ち抜くには複数投手による「継投」がカギとなる。1993年のセンバツで4強入りした駒大岩見沢より「投手力は上」とみる佐々木監督は、「一線級の投手が2人いるなら、(継投は)指導者の腕の見せどころです」と語り、切磋琢磨(せっさたくま)する「2本柱」をどう差配するか、早くも戦略を練り始めている。【三沢邦彦】