【毎日書評】スポーツを「行動経済学」の視点から分析してみたら…見えてきた意外なこと
スポーツにおけるファンサービスの重要性
ファンを大切にして中長期的な売上や利益を上げる「ファンベース」という考え方は、近年のスポーツ界においても広がっているそう。 そんな動きに伴って、スポーツチームもYouTubeやInstagramなどの各種SNSに力を入れています。選手を巻き込んだ企画を実行するチームが増えていたり、選手自身がメディアとして発信源になることが求められたり、つまりは広報という側面からいままで以上の活躍が求められるようになったわけです。 しかしその一方、カメラの前に立つことが苦手だったり、おもしろいことをするのが苦手だという選手も存在するはず。 「SNSの企画に参加するくらいなら、そのぶんの時間を少しでも練習にあてたい」と感じる選手がいても不思議ではないわけです。そういう意味では、とりわけ職人気質の選手にとっては少しばかり息苦しい時代だともいえそうです。 そんな選手には、声援による同調効果のことを知ってほしいと感じています。広告塔としてもファンサービスを頑張れば、チームにファンが定着する確率が高まります。ファンが増えれば、声援が増え、同調効果による支援が期待できます。(151ページより) そう考えれば、ファンサービスや広告塔としての活躍は決して無駄ではないことがわかるはずだということ。自分の成績を高めるための、いままでにはなかった新たな練習であると捉えることもできるわけです。 だからこそファンサービスに及び腰な選手には、ぜひともそれを利用してよい成績を引き出してほしいと著者は述べています。(151ページより) スポーツを行動経済学の視点から客観的に分析した、非常にユニークな一冊。スポーツファンはもちろんのこと、スポーツに関心がない方でも新鮮な驚きや発見を楽しむことができるでしょう。 >>Kindle Unlimitedの3カ月無料キャンペーン【7/17まで】 「毎日書評」をもっと読む>> 「毎日書評」をVoicyで聞く>> Source: 日本実業出版社
印南敦史