【武子直輝さん】2.5次元俳優になったきっかけは?「芝居にのめり込めば込むほど、面白さや難しさを実感する日々です」
アニメやゲームを題材にしたステージで強い存在感を放っている2.5次元俳優の、輝くばかりの美の秘密に迫ります。今回は、2.5次元舞台『あんさんぶるスターズ! THE STAGE』の鬼龍紅郎役や、『刀剣乱舞』の同田貫正役など、数多くの人気キャラクターを演じている武子直輝さん。キメの整った肌やポジティブな考え方、忙しい日々の中でもベストコンディションをキープし続けられているのはどうやら自炊生活の賜物のよう。そんな彼の、無意識に習慣化して得た健康についてや、芝居に対する想いについて伺った。 【写真】武子直輝さん
最初は舞台俳優になるのが怖かったし、できるわけない! と思っていた
いろいろな作品に出演されている武子さん。2.5次元俳優になるきっかけは? 「僕が2.5次元の作品に初めて参加した頃は、すでに2.5次元舞台というジャンルが確立されていました。足を踏み入れるつもりはありませんでしたが、今のマネージャーさんと出合い、映像しかやったことのない僕に、『舞台の世界にも触れてみたほうがいいよ』とアドバイスしてくれたのがきっかけで挑戦してみることに。でも最初はいやいやで(笑)。なんていうんですかね、やっぱり触れたことのないものってちょっと恐怖心があるというか……。今も地元の友達や親戚に『よくあれだけのセリフやダンスを覚えられるね!』と驚かれるんですけど、実際に演じている僕もそう思っていて。『あんなの絶対できるわけないじゃん!』と思いつつも、毎回なんとかやりきれていますし、やったらやったで身に着くものだと今は実感しています。 舞台と映像って大まかには一緒だけれど、カメラワークで芝居をするか否かの違いはあると思っています。映像だと、表情筋や瞬き、アイレベルなどを意識することが多い一方、舞台は体全体に関わってくる表現が多く、舞台からはけても2秒くらいは背中で演じ続けるようにしています。映像は編集することができますが、舞台は360度全方位から見られているので、映像とはまた違う緊張感が走ります。 映像も舞台も頭の中での組み立て方は一緒なんですが、神経の入れ方みたいなのが変わるというか。舞台では特に歩き方に細心の注意を払っています。自分の頭の中で、こういう役だったらこういう風に歩くのかな、この役なら手をぶらぶらさせながら歩くのかなとか。歩く演技ってその人の性格が一番出ると思っているので、こだわるようにしています。 役者のすごいところって、台本を読みながらどんどんイメージを膨らませられること。その想像もすべては、自分の頭の中、心の引き出しの中に入っているものなんですよね。 その中でもやっぱり難しいのは、等身大の役。クールな役は抑揚が少ないので、結構うまく見えたり、元気な役や元気すぎる役も大きく演じればそれっぽく見えるので演じやすいんです。ありのままの自分を演じるというのは、何をもって等身大なのかってことがとても難しくて、自分のことを分かっているようで、意外と見せ方が分からなかったり。かっこつけるのも自分ですし、ふざけてるのも自分ですし、その塩梅を芝居で見せるってなかなか難しいなと、芝居にのめり込めば込むほど、面白さや難しさを実感する日々です。 セリフ覚えはめちゃくちゃ早くて、ひたすら台本を読み込みます。まず感情は無視して、セリフだけを頭に叩き込んで、稽古の時に感情のピースをはめていくのが、舞台の醍醐味かなと思っています。舞台はそのために稽古期間があるので、それがすっごく楽しくて。なので、パターンを決め込んで覚えてしまうと、キャラクターが広がらなくなってしまうので、監督や演出家の要望に応えながら、“自分らしさ”を出していきたいんです。そう考えると、ある程度ラフな状態でセリフを覚えていくのが最善策なのかなと思っています。 料理もそうなんですが、最初はひと手間ひと手間が面倒くさいと思っていましたが、コツコツと毎日繰り返していくうちに、それが当たり前になり、いつの間にかルーティンに。いまでは全く苦ではなくなり、ただただ幸せを供給するための作業になっています。食材を選び、料理に合うようにカットして、味付けをして盛り付けるという一連の流れは、どこか役者という仕事に通ずる部分があると思うんです。これからも料理のレパートリーを増やすように、小さな経験を積み重ねて、演技の幅が広い役者を目指していきたいです」 ●俳優 武子直輝 東京都出身。子役として芸能界デビュー。以降、CMや映画、ドラマに出演し、近年は映画『牙狼』シリーズ劇場版4作目にあたる『絶狼<ZERO>-BLACK BLOOD-』や『女子高』、ドラマ『ハンサムセンキョ』、『トラジットガール』、『牙狼-魔戒列伝-騎士道』、舞台『ハイキュー!!』、『刀剣乱舞』、『あんさんぶるスターズ! エクストラ・ステージ』、『サンリオ男子』、『Paradox Live on Stage』、『僕のヒーローアカデミア』『ブラッククローバーthe Stage』など多数の作品で活躍。また舞台『魁!男塾』や『東京カラーソニック!!』では主演を務める。6月11日(火)に『ACTORS☆LEAGUE in Games 2024』に出演予定。 ジャケット ¥21780/HIDEAWAYS トラックジャケット ¥12980、トラックパンツ¥9900/soerte その他/スタイリスト私物 撮影/谷口 巧 ヘア&メイク/油屋喜明 スタイリスト/矢部義浩(wing star) 構成・文/佐藤 梓 企画/有住美慧(MAQUIA)