党員票遅配、不着の懸念 自民総裁選 被災地のはがき配達、投票率に影響か
自民党総裁選を巡り、県内では一般有権者を含めた関心の高まりに関係者が期待を寄せる一方、能登半島地震の被災地で投票用はがきの遅配や不着が生じる懸念が出ている。奥能登では郵便の戸別配達を再開できていない地域がある上、地震で避難や転居を余儀なくされた人も多いためだ。県内の投票率は、2021年前回選の70・12%が過去20年では最高で、今回これを上回るかは見通せていない。 「能登の被災者全員に投票用はがきを届けるのは難しく、届いたとしても投票する余裕がない可能性もある」。党県連の紐野義昭幹事長はこう気をもむ。 県連事務局は12日の告示後、すぐに県内の党員・党友2万1496人に投票用はがきを発送した。ただ、郵便物の土曜配達取りやめなどを受け、党員の手元に届くのは17日以降になる。はがきを受け取った党員は24日までに送り返さなければ、26日の党員投票締め切りには間に合わない。最長でも1週間程度しかない計算だ。 加えて、県連幹部が不安を示すのが、震災後に仮設住宅などに移ったものの、郵便局に転居届を出していない党員のケースだ。この場合、はがきが郵便局で保管されているうちに締め切り日を迎える可能性が大きいという。 県内の党員・党友のうち、石川3区の在住者は全体の2割に当たる約4千人。日本郵便北陸支社によると、現時点でも輪島市と珠洲市の一部地域では戸別配達を再開できていない。 羽咋市が地元の稲村建男最高顧問は「震災対応で政治の重要性が増す中、投票できない人を極力出したくない」と話した。 21年の前回選では県内の党員選挙人数は2万2813人で、有効投票数は1万5942票だった。投票率70・12%は小泉純一郎氏が勝利した03年の68・24%を上回り、過去20年で最高となっていた。 党県連は12日、総裁選を周知するポスターを金沢市の石川自由民主会館に掲出した。担当者は「はがきが届いた党員・党友は早めに投票してほしい」と呼び掛けている。