“町中華”の閉店が相次ぐ一方で、「餃子の王将」「バーミヤン」中華チェーンが好調のワケ
バーミヤンの鮮度を重視したメニュー作り
商品は、両社ともに標準化した味付けと通常サイズが中心だが、少量サイズも拡充しており、追加注文を上げて客単価向上を狙っているようだ。商品の質においては、餃子の王将は現場スタッフのスキル向上のため、実地やオンラインによる調理研修を実施し、各人の技術習得に注力している。 バーミヤンは各店が均一の味で低価格の料理を提供するために、マニュアル化した手順の元で人件費の低いクルーが主に調理を行っている。セントラルキッチンで下準備された食材を店舗の厨房で仕上げているが、他店に比べて冷凍食材を使用しないなど、鮮度を重視したメニュー作りもされている。各店舗の端末へ調理手順を動画配信するシステムが配備されたり、技能検定制度を整備するなど調理指導も徹底されているようだ。 価格は、ほぼ同じようである。以前は、バーミヤンの方が若干高かったが、もともと安かった餃子の王将が人材投資を主目的に値上げを実施し、価格差はほぼないようだ。 接客サービスを比べると、餃子の王将は人間中心の接客である。ただ、来店客が多く、一人ひとりに親切丁寧な接客というより、いかに効率的にさばくかが課題のようになっている印象だ。バーミヤンはすかいらーく系なのでどうしてもマニュアルを義務付けられた接客になっている。DXをフル活用し、タッチパネルによる注文、配膳ロボット、セルフレジなど一連のプロセスがデジタル化・省力化されている。配膳ロボットのフル活用ではクレームが23%減少、片付け時間が40%削減、歩行数49%削減、さらにセルフレジ利用も70%を超えるなど利便性も向上させている。
店舗ごとに個性を発揮する餃子の王将
チェーンでありながら地域の店舗ごとに個性を発揮する餃子の王将と、すかいらーくの傘下でチェーンとしての統一性を厳格に順守するバーミヤン。 店の基本姿勢としては、餃子の王将はチェーンとしての基本は守りながら、各地域のニーズに合致したオリジナルメニューの販売など、店舗にも独自のメニュー開発する権限を委譲し、従業員のやる気を引き出している。また、可能な限りお客さんの要望も受け入れ、一定の範囲でカスタマイズ化にも対応している。一方でバーミヤンは店舗現場にそれほどの権限はなく個々の顧客に柔軟に対応するというのは困難なようである。 店舗開発においては、餃子の王将は中長期的視野に基づく経営戦略の一環として新コンセプト店「GYOZA OHSHO」の出店を計画している。「王将女子チーム」による、女性の視点と感性を発揮させた店舗開発である。一方でバーミヤンはすかいらーくの経営戦略に基づき、複数業態を出店し、商圏内を徹底分析して自社でカニバリゼーションしないような業態配置を徹底している。