アサリとトマト、キュウリの春雨サラダ（提供写真）

【健康長寿に役立つ高齢薬膳】緑豆春雨 　食欲の秋。つい食べ過ぎてジワジワと体重が増加気味……。シニアにとって栄養不足もさることながら、肥満も身体に悪影響を及ぼす大きな問題です。 サバ＋αで元気に暮らす（4）セロリと合わせて気の巡りを促進しメンタルヘルスを改善 　シニアは基礎代謝が落ちているうえ、筋肉量が減り、運動機能の低下から運動不足になることで体脂肪率が上がりやすく、食生活が乱れると太りがちに。肥満は、股関節や膝関節に負担がかかるため変形性関節炎、腰痛といったトラブルの原因になります。日常生活における動きがスムーズにできないことは、ますます運動不足を引き起こしてしまいます。 　また、肥満は高血圧や糖尿病などの生活習慣病につながる要因になり、動脈硬化が進みやすくなるため、心筋梗塞や脳卒中を引き起こすリスクがアップするのです。 　これらの不調が重なれば、当然、認知症のリスクも高まります。食べやすいものや好きなものばかり食べるのではなく、適正体重を維持するための食養生を心がけましょう。 　中医学では、身体全体のバランスが崩れていることによって太りやすい体質になっていると考えます。バランスが崩れると代謝が落ちて、必要以上の脂肪や水分をため込んでしまうのです。よって、肥満を防止するには体内のバランスを整え、代謝を上げて老廃物をスッキリ出すことが重要になります。 　そのためには、体質に合った食材を取り入れることがポイント。今回は「熱タイプ」について説明します。 　熱タイプは食欲旺盛で、肉や揚げ物など脂っこいもの好き、野菜はあまり食べないという人に多く見られる肥満です。取り込んだ栄養分をうまく利用できないまま、身体にため込んで脂肪や水分を蓄え、太りやすくなります。蓄えた老廃物が、体内で過剰な熱を放ち、暑がりが多いという特徴があります。 　さらに、食べるほどに胃が熱を蓄え、どんどんお腹がすいていくらでも食べられるという「恐怖のメタボ胃袋」になりがちです。 　このタイプは、とにかく身体の熱を冷まし、余分な脂肪や水分を追い出すことが肥満を改善するポイントになります。 　おすすめは緑豆春雨。原料となる「緑豆」には、身体の熱を冷ますとともに、水分代謝をアップして尿の排出効果を高める優れた効果があります。解毒作用も高く、体内の老廃物をスッキリ排出する働きもあり、このタイプの肥満改善にはうってつけの食材なのです。麺類の代替品にしたり、サラダに使うなど積極的に利用することをおすすめします。 　緑豆春雨の肥満改善効果を高めるには、同様の効能があるキュウリ、アサリ、シジミ、海藻類などを合わせて取り入れるとよいでしょう。 ■緑豆春雨高齢薬膳レシピ アサリとトマト、キュウリの春雨サラダ 　身体の熱を冷ます緑豆春雨と同様の効能があるキュウリ、アサリを組み合わせレシピ。アサリ缶汁の旨みがきいたドレッシングで春雨が美味しくいただけます。 【材料】2人分 ●緑豆春雨　40g ●アサリ缶（60g）　1缶 ●トマト　1/2個 ●キュウリ　1/ 2本 ●A（ナンプラー=大さじ2、酢・ごま油・レモン汁=各大さじ1、みりん=小さじ1、鶏がらスープの素=小さじ1/2、こしょう=適量） 【作り方】 　緑豆春雨は熱湯に入れてもどし、ザルに入れて流水で洗い水気を切って、食べやすく切る。ボウルに、緑豆春雨、1㎝角程度に切ったトマト、せん切りにしたキュウリ、アサリ缶を汁ごと入れ、混ぜ合わせたAを入れて全体を混ぜる。 （池田陽子／薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト）