日本人の真面目な"構え癖"のせいで、ボールを奪えない?川崎フロンターレU-18監督の、守備時の懸念点と3つのNGワード
―守備時の状況判断において、大事なことは何でしょうか? 長橋 守備の場面では、「4-4-2」あるいは「4-2-3-1」で構えた際に、まずは、チームの中で方向を決めることを考えます。相手の展開がサイドに行った場合は、「そっちのサイドでちゃんとロックをかけられるのなら、フォワードの選手がサイドを変えられないように追った上で、全体がある程度スライドしながら、ボールサイドでボールを奪おう」と言っています。チームの中で方向を決めた上で、サイドでしっかりと仕留めようということです。 セットした際の奪いたい絵を提示していますが、それだけではわからないところがあるので、NGワードを3つ設けています。プレスに行った際にフォワードが入れ替わられると、同サイドに集めたものが一気に全部外された状態になるので、「入れ替わられる」のはNGです(図6)。 (図6解説) 守備側(システムは「4-4-2」)が赤。プレスに行った際にFWが入れ替わられると、同サイドに集めたものが一気に全部外された状態になる
それと、自分たちのライン間で相手のうまい選手に前向きになられると、ピンチに陥ります。これは、守備時のAゾーン、Bゾーン、Cゾーン、Dゾーンのどこにおいても同じで、「前向きをつくられる」のも、絶対にNGです(図7)。 (図7解説) 守備側(システムは「4-4-2」)が赤。自分たちのライン間で相手のうまい選手に前向きになられると、ピンチに陥る。これは、守備時のAゾーン、Bゾーン、Cゾーン、Dゾーンのどこにおいても同じである
背後にシンプルに蹴られて、一発食らったことがあるので、3つ目として、「背後をとられる」のもNGです(図8)。 そういったことをチームのコンセプトにした上で、まずは、方向を決めて、ボールサイドでボールを奪うことを目指します。3つのNGを意識させた上で、「入れ替わりに注意しよう」「ライン間で前向きをつくられないようにしよう」「一発で背後をとられないようにしよう」という組み合わせをつくりながら守るイメージです。 (図8解説) 守備側(システムは「4-4-2」)が赤。相手は、こちらの背後にシンプルに蹴って、そのまま得点を奪う形を常に最優先として狙っているはずである。FWの前からのプレスとディフェンスラインのケアなどにより、それを阻む -NAVIGATOR- 長橋康弘[川崎フロンターレU-18 監督] PROFILE 長橋康弘(ながはし・やすひろ) 1975年8月2日生まれ、静岡県出身。94年に、静岡北高校から清水エスパルスに加入した。97年に川崎フロンターレに移籍し、2006年に引退。翌シーズンから川崎Fで指導を始め、U-12チームのコーチやU-18チームのコーチなどを歴任した。18年からはU-15チームの監督を務めたあと、20年にU-18チームの監督に就任。日本サッカー協会公認A級コーチライセンスを持つ
サッカークリニック編集部