阿部寛が震災で行方不明になった家族に会いたいと願う主人公に NHKドラマ『水平線のうた』3月に2週連続放送 共演に松下奈緒ら
<コメント全文>
■原案・音楽:岩代太郎 作曲家である私は「なぜこの世に音楽が必要なのだろうか」と日頃から自問自答しています。その答えと成り得る「音楽の必然性」を探求し具現化しようと頑張っているのです。 たとえば私は、音楽が音楽たる真の姿を現すためには、3つの想いが必要だと思っています。それは、「作曲した人の想い」「奏でた(歌った)人の想い」そして「聴いた人の想い」です。3つの想いが、それぞれに満たされた時、たった一人だけの想いが、数多くの人々と分かち合える想いへと昇華していくのです。だからこそ、音楽は心在る所にしか存在出来ません。作曲とは、静寂から調べを手繰り寄せるようなもの。そんな想いや感覚に導かれた物語が『水平線のうた』でした。 こよなく家族を愛していたタクシー運転手が、音楽の力によって失いかけていた絆へと辿り着く。そんな物語を皆様へお届けしたいと願っております。 ■脚本:港岳彦 1995年の夏、季節労働者として宮城県女川町のちくわ工場で働いていた。工場の人たちはみんな親切で、主任はわざわざ自宅に招いて食べきれないほど大量のご馳走を振る舞ってくれたし、おじさんの一人は、幼馴染が女将を務める小料理屋で極上の女川の秋刀魚を食わせてくれた。毎朝「息子があんたと同じくらいだから」と目を細めながら、焼きたてのちくわを口に突っ込んでくれるおばちゃんもいた。同年代の照れ屋な女の子とはあまり話せずじまいだった。このシナリオは、片思いにすぎないかもしれないけれど、あの夏をずっと忘れないという気持ちで書きました。岩代太郎さんの閃光のようなインスピレーションが、書かせてくれました。あとホヤも絶品だから! ■主人公・大林賢次役:阿部寛 このドラマは、震災から13年が経った今、過去の喪失と向き合う人々の姿を静かに、しかし深く描き出しています。脚本では、主人公の大林賢次が、妻と娘を探し続ける中で、偶然出会った女子高生との交流を通じて、失われた絆や未だ癒えない心の傷に再び向き合う様子が細かく描かれています。人の垣根を越えて残る音楽の力、未来を見つめる若い世代と、過去に縛られる大人たちの対比が大きなテーマとなっており、多くの方々に共感していただける作品です。ぜひ、この感動的なストーリーをお楽しみください。 ■制作者 音楽家の岩代太郎さんからこの企画の提案をもらってから3年間。時間をかけ、じっくりと準備をしてきました。制作過程において実感することは東日本大震災から13年が経ち、復興によって風景が修復されても震災被害者の方々の未だ心の傷は大きく、安寧となるのが簡単ではないことです。東日本大震災から現在までに、平成28年熊本地震、令和6年能登半島地震や日本のいたる所で水害被害などが起きていて、この国は絶えず災害に悩まされ、苦しんでいます。 この物語がたくさんの人々のもとに届き、ほんの少しでも明るい気持ちになってもらえればと願うばかりです。