M&A仲介大手「全社株価急落」の深い理由、高額手数料や悪質ダイレクトメールにメスも
この営業手法のベースになっているのが高額な企業データだ。「企業調査会社などから『後継者不在』や『株式が分散している会社』などM&Aの成約確率が高い会社のスクリーニングデータを数百万円で定期的に買い集めて、登録住所に一斉にダイレクトメールを送りつけている」(業界関係者)という。1つの成約案件で数千万の報酬が入ることが珍しくないため、数百万円の費用も簡単に回収できてしまう構造にあるわけだ。 中企庁が5月31日に開催した中小M&Aガイドライン見直し検討小委員会では、相手方が広告・営業を受けることを希望しない意思表示をした場合には、広告・営業を禁止するといったことも検討されている。
新たな規制をめぐる不安材料はあるものの、仲介事業者の株価は持ち直しの動きに転じており、株主にとっては成長が続く期待銘柄である点は変わらない。6月18日には仲介事業者のインテグループが東証グロース上場を予定している。 事業承継関連のM&Aニーズが高まる中、仲介事業者の持続可能な成長を維持するためにも、業界の健全化が求められている。
髙岡 健太 :東洋経済 記者