打撃は2軍レベルにあらず…“異次元”の結果を残す佐藤輝明はいつ1軍に返り咲くか? カギは岡田監督の掲げた「課題」克服
阪神の佐藤輝明が試練と言える2軍降格を突きつけられたのは5月15日。そこから虎の大砲は今も研鑽の日々を送っている。 【動画】雨を切り裂いた!佐藤輝明が決勝の3号3ランを放ったシーン 首位争いを演じながらも貧打が続いたチームへの“カンフル剤”的な意味合いもあった2軍降格だった。開幕からクリーンナップの一角を打つ機会が増えていた佐藤は、開幕から打率.209、3本塁打、17打点、OPS.607、得点圏打率.281と低迷。ボール球に手を出し、相手バッテリーに容易く翻弄される内容のない打席が悪目立ちしていた。 さらに課題のひとつとなっていた守備でも凡ミスを連発。攻守での悪循環が尾を引き、次第に思い切ったプレーも鳴りを潜めるようになっていた。そうしたなかで岡田彰布監督は2軍降格を決めた。昨年にも同様の措置を取っていた指揮官にとっては、本人を叱咤する意味もあったのかもしれない。 もっとも、2軍に行ってからの佐藤の状態は上向いている。守備にこそ粗さは否めないが、打撃に関しては別格だ。6月1日時点で打率.300、2本塁打、長打率.540、OPS.904と軒並みハイアベレージを記録。直近5試合に限れば、打率.455(22-10)、1本塁打、9打点、出塁率.458、長打率.818、OPS1.276と文字通り絶好調だ。さらに.100以上あれば「一流」とされる純然たるパワーを表す指標『ISO』も.240と次元の違いを見せつけている。 もはや打撃のレベルは2軍にない。さらにチーム打率(.228)がリーグ最下位と貧打に苦しむ阪神の近況を考えれば、DHとしての起用も可能となる交流戦期間中に昇格させたいところではある。 では、いつ佐藤は1軍に入れるのか。やはりカギとなるのは岡田監督の考えだ。 これまでも単なる数字に囚われずに起用を続けてきた“御大”も、もがく25歳を「球団の顔」として成長させたいという思いは強い。先月27日に『MBS』の「よんチャンTV」内で放送された掛布雅之氏との対談では、「全部が全部打てるわけじゃない。そういうことを言ってるんじゃない」と強調。そのうえで「打てなくても悔しがる姿。そういう総合的な面ですね。いろんな面での姿勢や内容を含めてね」と降格の意図を明確にした。 さらに「打つだけの選手じゃないし、守備固めで代えるとかっていう選手でもない」とも続けた指揮官。2軍でどれだけ成績を上げようとも、指揮官が口を酸っぱくして言い続けてきた“課題”を克服する兆しを見せていなければ、早々の1軍復帰はないのかもしれない。 佐藤の復活は虎党にとっても待望だ。その瞬間がいつ訪れるかは、球団史上初のリーグ連覇のターニングポイントにもなり得るだけに、首脳陣の判断がチームの行く末を左右するカギとなりそうだ。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]