「八百万の神々」入門 第5回:もっと知りたい日本の神様:人間に近い存在、「付き合い方」は人それぞれ
友達になりたい神様
JS 個人的に “推し”の神様はいますか? 平藤 コノハナサクヤヒメが好きです。友達になって、あんな男(ホノニニギ)はやめなさいよと助言してあげたい。 JS 火の中で出産する女神ですよね。 平藤 そうです。根性が据わっているところが好きです。火の神として富士山の浅間(せんげん)神社に祭られています。また、お酒を醸したという伝承から、お酒の神様でもあります。 JS ひょっとして先生はお酒が好きですか。 平藤 はい、好きです。コノハナサクヤヒメは、美しいだけではなく、お酒を飲みながら楽しくおしゃべりできそうなのがいいですね。 JS 若い世代はどんな神様に興味がありますか。 平藤 私が教える大学生の中には、剣の神様について研究したいという女子学生が何人かいます。鹿島神宮(茨城県)の祭神、タケミカヅチノカミです。興味の発端は、刀剣を擬人化したゲーム「刀剣乱舞」だったようです。刀をイケメン男子に擬人化したゲームが誕生したのは、モノに魂が宿る発想があったからこそで、そのゲームをきっかけに神様に関心を持つのは、とても日本的で面白いと思います。
浮気を疑われ、炎の中で出産
コノハナサクヤヒメと結婚したいというホノニニギからの申し出に、父親の山の神・オオヤマツミは喜び、姉のイワナガヒメも一緒に差し出す。アマテラスの子孫たちの命が岩のように永遠であるように、桜の花が咲き誇るように栄えるようにという願いを込めて、姉妹を差し出したのだった。ところがホノニニギは、岩のように醜いとイワナガヒメを送り返してしまう。この結果、高天原の神の子孫でありながら、天皇たちの寿命は、花のように短くはかないものになってしまった。 コノハナサクヤヒメはホノニニギとの一夜の契りで妊娠するが、ホノニニギは一夜で妊娠するはずがない、自分の子ではないのではと疑う。コノハナサクヤヒメは浮気をしていないことを証明するため、天孫の子どもなら無事に生まれてくるはずと、産屋に火を放つ。燃え盛る火の中で、ホデリ(海幸彦)、ホスセリ(神話では誕生のときに名前が出るだけ)、ホオリ(山幸彦)の3人の皇子を産む。母乳の代わりに甘酒を醸して息子たちに与え育てたという伝承がある。