育った家庭に比べれば「芸能界はまともな世界」…人気ギタリストが語る“特殊な”生育歴「日常で母を思い出すことは皆無」
育った家庭に比べれば「芸能界はまともな世界」
――当時から研鑽を重ねて、多くのミュージシャンからの信頼を得てこられたMiAさんは、生き馬の目を抜く芸能界という場所で輝いておられます。ご自身が育った家庭環境が、そうしたタフネスを作り上げたようにも感じますね。 MiA:「話の通じない人間が家庭内にいる」という状況は、修行という観点からは悪くなかったのかもしれません。というのは、やはりどこに行ってもそういう人間は一定数いますよね。でも大切なことは、自分がしっかりやるべきことをやって、結果を残して、認められていくことだと思うんです。 育った家庭に比べれば、激動といわれる芸能界すら、まともな世界だと感じます。なぜなら、基本的には努力をすればしただけリターンがある世界だからです。いつ、どうして母親が怒るのかまったく理解できない私の家庭には、それがまったくありませんでしたから(笑)。今はただひたすら、あの家を出られて良かったなと思います。こうしたインタビューでもない限り、日常で母を思い出すことは皆無です(笑)。
憧れていたアーティストたちとの共演を増やしていきたい
――今後のMiAさんの目標があれば、教えてください。 MiA:あまり壮大な夢や目標を抱くタイプではないんですよね。ただ、かつて憧れていたアーティストたちと同じステージで共演することは自分のモチベーションになるし、努力を重ねてきて本当に良かったと思える瞬間です。そうした瞬間をこれからも増やしていきたいですね。それを叶えるためには、「ステージに立たせたい」と思わせる人間である必要があるので、自分が成長していかなければと思っています。 ===== MiA氏は自らに期待された役割を極めて精緻に、そして誠実に分析し、その姿に向かって一心不乱に努力を重ねる。氏が周囲を惹きつけて離さないのは、完璧な肉体美や顔貌の造形にまったく遅れをとらない意識の高さによる。 ”ミュージシャン・MiA”のブランドを妙に凝り固めない軽やかなスタンスもいい。ミュージシャンとして生きるからには身体の改造も厭わず、観客を沸かせるよう全力を尽くす。けれども後戻りの余白も残し、過去をさらりと打ち明ける度量の広さを持ち合わせる。 見た目を取り繕う芸能の世界は、玉石混交。小細工だけのまがい物とは隔絶した”本気”を宿すミュージシャンが、ここにいる。 <取材・文/黒島暁生> 【黒島暁生】 ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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