「まだNBAの水準にない」エゲツないミスを連発、逆転すら予感するピンチの原因に…それでも現地ファンが河村勇輝を批判しなかった“悲しすぎる理由”
「超常現象」を巻き起こす資質
Gリーグ移行前の最後の出場となったポートランド・トレイルブレイザーズ戦、河村はアウェイの観客から熱狂的な声援を受け、彼がターンアラウンドシュートを沈めた瞬間にはその日一番の歓声が巻き起こった。 先の「Grind City Media」は、河村が敵地で異常なまでの注目を浴びていることに驚き、「ユウキをめぐる熱狂があらゆる場所で巻き起こっている」として、河村の存在を“phenomenon(不思議な現象)”さらには“force of nature(自然の力)”などと表現した。 現地メディアにとっても、河村がこれほどまでに人を惹きつけている状況は、ほとんど理解を超えたものなのだろう。もちろん、身長の壁に立ち向かう姿や、オリンピックにおける活躍と悲劇的な結末、積極的な適応の姿勢など、人気の背景を探せばいくらでも考えられる。 しかし言葉による説明を超えたところで、河村が「応援したくなる何か」を持っていることはもはや明らかだ。チーム状況の変化が激しいNBAにおいて、どこでも熱狂を巻き起こしてしまう河村の資質は、おそらく相当にポジティブな要素になるのではないか。 とにもかくにも、すべてはGリーグで得点力を証明するところからである。16日のGリーグデビュー戦では、先発ポイントガードとして際立ったゲームメイクを披露し、10個のアシストを通じてチームメイトの得点を演出していた。一方で自身の得点面では、シュート12本のうち成功は3本に留まり、依然として苦戦が続いている。またディフェンスの面でもファウルトラブルに陥り、高さだけでなく平面の駆け引きで得点を許すなど、まだまだ課題は多い印象だ。 とはいえGリーグでの戦いは始まったばかりである。これからチーム状況に慣れ、高さやスピードに適応していくことで、本来の持ち味も活かせるようになるはずだ。魅惑的なノールックパスと3ポイントに加え、変幻自在のオフェンスで得点を挙げつづける「小さな巨人」の姿をぜひとも期待したい。
ベン兵頭