「まだNBAの水準にない」エゲツないミスを連発、逆転すら予感するピンチの原因に…それでも現地ファンが河村勇輝を批判しなかった“悲しすぎる理由”
しかし、ショッキングな光景に「やっぱりNBAは早すぎた」と落胆する日本国内のファンとは対照的に、現地メディアや掲示板、ファンのSNSなどを見ても、河村を批判する声はほとんど見られなかった。 この批判のなさは、現状における河村への期待度を表しているのかもしれない。象徴的なのは、先の「Grind City Media」によるリアクションである。 彼らは河村出場後の展開について言及したあと、「試合後のユウキのポスト見た?」と切り出す。河村の試合後のInstagram投稿を読み上げ、チームの勝利報告と応援への感謝に続く「期待に応えられず申し訳ない」「チームに貢献できるよう毎日努力を続ける」という部分で大ウケしていたのである。 これは、「そんなことを気にするなんて!」という笑いであり、あまりに実直な河村の姿勢がかえって笑いを誘ったようである。その後彼らは「期待に応えられていないなんて! 君はあらゆる期待に応えている!」「それでも君はマブダチだ(You’re still our dawg, man)」といった言葉を続けている。
不振でも「批判されない」のはなぜか
こうした反応は、現地ファンの「実力面は時間をかけて見守ろう」というスタンスの表れとも受け取れる。実際のところ、「グリズリーズの戦力としての河村」について言及するメディアはほとんど見られず、キャラクターとしての側面にスポットが当てられていた感がある。 やや潮目が変わったのは、河村がNBAで初の3ポイントを沈めたワシントン・ウィザーズ戦からだ。この試合、河村は華麗なビハインドバックパスによるアシストも記録し、このプレイはNBAがその日の好プレイを選出する“Top 10 Plays of the Night”の10位にランクインしている。 ハイライトプレイが各所で拡散されるにつれて、河村に対する言及も増えていく。現地ファンからは「彼にもっとプレイタイムを」「彼のパスはマジでヤバい」といった賞賛に加えて、「パスは素晴らしいが、その他の能力は今のところNBAでプレイできる水準にない」といった批判も見られるようになった。 注目すべきは、それまでのシンプルな応援コメントよりも、批判をともなうコメントの方が、「河村がNBAに定着するには何が足りないか」という視点を含んでいることだ。河村の実力面を客観視しようとするファンが見られるようになった現状は、河村が「将来的な戦力」として期待されはじめている兆候であるようにも思える。