漫画「あぶさん」41年の連載に終止符。初期の舞台ゆかりの地へ/大阪
道頓堀、酒を楽しみながら南海ホークスを体感できる店
人通りが多く、きらびやかなネオンが輝く道頓堀。グリコの看板付近から西へ約300メートルほど歩いた場所に、南海ホークスの写真をたくさんはった店があり「SPORTS BAR 難波のあぶさん」と書かれていた。中に入ると、緑色の懐かしいユニホームが飾られている。「これは選手らが善意で置いてってくれた、ほんまもんやねん」と語り、背番号「90」「あぶさん」のユニホームを着て出迎えてくれたのは同店オーナーの武知義一さん(61)。聞けば南海ホークス応援団をへて、現在は福岡ソフトバンクホークス関西応援会会長を務めているという。
店を優しく見守ってくれるような「あぶさん」のイラストも
ボトルが並ぶ棚の上には「あぶさん」などのイラストもはられている。筆者が「(88年の)大阪球場最後の試合へ行った」と話すと「ここへ来たらなんか大阪球場のスタントみたいやろ?」と武知さん。今でも元選手や応援団仲間、時には現役選手も訪れるなどして盛り上がる。 カウンターで「やっぱ南海はええよなぁ」と声をかけてきた客の男性は、出張で来阪し同店へ来た埼玉県の森竹貞宜さん(42)。実家は大阪で「僕も最後の試合行ってん」と、初対面の筆者のグラスに、ボトルの酒を注いでくれた。「僕は実家が堺市やから、小学生の時とかはよく、中百舌鳥球場へ行った。折れたバットを拾って遊んでたら(当時の)穴吹(義雄)2軍監督に怒られたわ」と懐かしい思い出を語る。関東に住んでいる今も、ホークスを思う気持ちは少しも変わらないという。 ここまで筆者は取材に来たと明かしていないが、ホークスやプロ野球を好きが、すぐに和気あいあいとなるこの感覚。まるで、あぶさんが作中で愛し続けた居酒屋「大虎」を彷彿とさせる楽しい光景と重なり、壁に飾られた「あぶさん」のイラストはそれを優しく見守っているように見えた。
連載は終わっても「あぶさん」は永遠に
41年で街の様子やチームも変わった。しかし、大阪の「あぶさん」「南海」を愛する人の温かい気持ちは、それだけの時をへても変わらない印象だった。大虎のような感覚、そして大阪球場にいるような雰囲気。武知さんは「あぶさんが終わるんやな。寂しいけど、盛り上がらな」と話しみんなで乾杯。連載は終わっても「あぶさん」はファンの心の中で、永遠に続くのかもしれない。 地図URL:http://map.yahoo.co.jp/maps?lat=34.668787222222&lon=135.498202222222&z=18