舌や歯ぐきのチェック方法、軟組織を観察する習慣はおすすめ/歯学博士・照山裕子
「100歳まで食べられる歯と口の話」<31> 健康のバロメーターとして、舌や歯ぐきといった軟組織を観察する習慣はおすすめです。 口腔(こうくう)から消化器官まではずっと地続きです。口の中がきれいなピンク色をしていることが理想ですが、タバコによって血流が滞っているような場合は、顔色だけでなく口腔粘膜が暗い色に変化してきます。これが日常になると、特に「口腔がん」などの初期症状に気づきにくいことがあるので、嗜好(しこう)品によるリスクがある方ほど念入りに口の中を見る癖をつけていただきたいと思います。 今回は舌のチェック方法をお話しします。健康な舌は、なめらかなU字型を呈しています。湿り気があり、色は淡紅色という薄いピンクのイメージです。舌苔がうっすら白く、舌表面が透けて見える程度なら問題ありませんが、表面が見えないほどの厚みや色であれば要注意です。 舌苔は細菌の集合体(バイオフィルム)のため、においの原因にもなります。毎日それを唾液とともに飲み込んでいることで、全身の健康状態も影響を受けます。舌清掃の適切な方法は歯科医院で指導を受けてください。 舌の表面には舌乳頭があり、ブツブツとした凹凸があるのが正常です。この舌乳頭が萎縮してツルツルした状態になっている場合、唾液量の低下に伴う口腔乾燥や、鉄分あるいはビタミン不足の可能性があります。医療機関を受診してください。 舌の側面に歯の痕がついてギザギザになっている場合、むくみなど水分代謝の悪化が考えられます。落ち舌の人にも見られる症状です。 歯の表面にひび割れのような溝がある場合は栄養や水分が不足している可能性も。食生活全般を見直してみてください。 舌の裏側には体の中で唯一直視できる「舌下静脈」という太い血管があります。ここが膨れていれば生活習慣病のリスクが考えられます。糖尿病や動脈硬化に気をつけましょう。