現場でハンマーをぶん回す“地質屋”看板娘が、濃飛流紋岩を見ながらウミウシ愛を語ってくれた
公共事業などで道路やトンネルを造る際は、事前の地質・地盤調査が必要だ。 今回の看板娘は、そんな現場で奮闘する女性。 【写真20点】地質・地盤調査を行う看板娘を写真で見る
エレベーターで13階に上がり、オフィスを覗くとーー。
さっそく、ご登場いただきましょう。
こちらは地質・地盤部に所属する杉江美織さん。上に着ている作業服はいわゆる仕事着だ。その辺りのことは追って伺うとして、美織さんが生まれ育ったのは横浜市。 「横浜といってもまだ畑が残っていたりするエリア。うちの前の川はカワセミをはじめとした野鳥が多く来る川で、愛好家の方がよく大きなカメラを持って撮影していますね」。
大学ではもともと興味があった植物生理学と土壌学を専攻。これが現在の仕事に活きている。 「新卒で就職したのは地元の土木系の企業です。地質調査をしていましたが、調査だけでなく提案にも携わりたいと思い、2年ほどで八千代エンジニヤリングに転職しました」。 美織さんが担当しているのは、国や自治体から依頼された地質や地盤の調査、事業者への提案。つまりは、道路、ダム、橋、トンネルなどのインフラを造る際の安全性を確認するものだ。 「まさにやりたかった仕事なので毎日が充実しています。現場では山の斜面にどんな岩石が出ているかを調べたり、奥に隠れている地層の構造を見たりするんです。 道路の場合は予定のルートをひたすら歩きます。ほぼ登山という箇所も少なくありません。1週間、泊まり込みで行くことも多いですね」。
クマに遭遇したり、滑落したりといった危険を回避するために、地質調査は必ず複数のスタッフで行うらしい。 現場では地質構造とその成因について上司と議論もする。
また、地質のみならず水質も調査する。
なお、調査に必ず携行するのは、岩を割る専用のハンマー、地層の伸びている方向を計測するクリノメーターと、叩き割った岩の断面を観察するルーペだ。
出張先でのオフショットも見せてくれた。まずは、1.2という日本一pH値の低い温泉、秋田県は玉川温泉の大噴(オオブケ)。