息子をヤングケアラーにしないために 運動会の親子競技で体力の衰え感じ… 息子は4歳 還暦パパの異次元子育て
■弱音を吐くことが大事
元日本テレビアナウンサーの町亞聖さんは、ミュージカルや舞台をご一緒する観劇仲間。18歳から母親を介護した経験のある〝元祖ヤングケアラー〟として、介護支援の啓蒙(けいもう)活動を行っている。
これまでお芝居の話しかしたことがなかった町さんに、単刀直入に「息子をヤングケアラーにしないよう親としてできることがあるのか」とうかがうと-。
「大切なのは、日ごろからの親子のコミュニケーションです。困ったときに『助けて』と言える子供に育ててあげてください」と返ってきた。
町さんは、まだ介護保険制度もない時代に、母の介護やきょうだいの世話をしながら、役所に何度も通い、さまざまな大人の手を借りたことで学業とくらしを両立させ、アナウンサーになる夢をかなえている。
「大人も子供も弱音を吐くことが大事。私のときと違って、今はさまざまな公的支援があります。何があってもあきらめないで、自分の人生を大切に生きられるようになるといいですね」。町さんは、援助を得ることの大切さを説く『受援力(じゅえんりょく)』という本を出版したばかり。その言葉には説得力があった。
息子は、ミニカーで、消防車や救急車を使った〝レスキューごっこ〟をするのが大好き。よく「たすけて」と声をあげているが、それはとても大事な言葉。改めてそう思った。
中本裕己(なかもと・ひろみ) 昭和38年生まれ。前「夕刊フジ」編集長。著書に『56歳で初めて父に、45歳で初めて母になりました』。