計画案に厳しい指摘も…求められる顧客目線 負債約360億円から事業再生目指す鹿児島の老舗百貨店・山形屋の今後【後編】
再生へ「スピーディーな経営判断」
駅前の一等地から百貨店が姿を消したが、跡地の利用はまだ決まっておらず、行政にとっても課題は山積みだ。 松江市まちづくり部都市政策課・陶山知政課長は、「もともと松江駅周辺という部分でにぎわいの再生を目指していた。一畑百貨店が撤退するという形になり、ある意味、核になる施設がなくなる。経済界と官民連携で、きちんと役割分担を決めながら、再生に向かって取り組むべきだと思っている」と語る。 地域の大きな影響を及ぼす百貨店の閉店。鹿児島の山形屋が生き残るために求められるのはどういったことなのか?百貨店と地域経済の関係に詳しい神戸国際大学の中村智彦教授は、「スピーディーな経営判断と決断にある」と話す。 神戸国際大学・中村智彦教授: まずは遊休施設の売却とか規模の縮小、赤字関係子会社の整理などが進む。いずれは雇用の削減にも手をつけざるを得ない。一部の不動産や資産の切り売りもせざるを得ない。新しい魅力を持った百貨店にしていくために、どうするのかということになってくる
厳しい指摘も…求められる顧客目線
山形屋の再建計画で柱のひとつに挙げられるのが、グループ会社の統廃合だ。 鹿児島県内にある川内山形屋(薩摩川内市)、国分山形屋(霧島市)は鹿児島市の山形屋に合併されるものの閉鎖はしない方針で、従業員の早期退職やリストラなども予定されていない。 そのほかに挙げられるのが、アプリなどのデジタル技術を導入した新規顧客の獲得だ。従来の形を残しつつ、時代のニーズに合わせるという計画案となっている。しかし、県内経済の事情を知る関係者からは「計画案としては甘い。顧客目線が足りず、売り上げを伸ばすにはどうすればいいのかという視点が乏しい」という厳しい指摘もある。 買い物客からも「店内を見てまわるのは好きだが、座るところやちょっとした休憩場所が少ない」「物価も高いし、駐車場とかを考えると気軽に来られる所ではない」「もうちょっとプチプラ(低価格)のものがあれば、若い子たちや高校生世代とかも天文館に来るのかな」とさまざまな要望が聞かれた。 鹿児島から百貨店の明かりを消さないために。これから本格的に始まる山形屋の経営再建がどのように進むのか注目される。 (鹿児島テレビ)
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