2018年の明治神宮大会は劇的だった! 優勝を決めた楽天強打者の2ランはまさに名シーン!
20日から開催された第55回明治神宮大会は今年も熱戦が繰り広げられています。 高校の部、大学の部はどちらも思い出深い試合が多いですが、その中で2018年の大学の部はとてもドラマチックでした。この大会で優勝したのは東都代表の立正大でした。当時の主力はともに楽天に所属する伊藤 裕季也内野手(日大三)、小郷 裕哉外野手(関西)が出場。特に伊藤選手の活躍が目覚ましい大会でした。この大会を振り返っていければと思います。 【トーナメント表】明治神宮大会・大学の部 23日までの結果
坂田監督の教えで急成長。ドラフト2位指名を勝ち取る
伊藤選手はドラフトシーズンとなった4年では、しっかりと活躍を見せていました。4年春では打率.310、2本塁打、5打点の活躍で、評価を高め、大学日本代表にも選出され、高校日本代表との試合では豪快な本塁打を放ち、インパクトを残しました。4年秋では打率.244、2本塁打、8打点としっかりと長打力をアピールしてドラフトに臨み、DeNAから2位指名を受けました。 成長の裏には当時、立正大を率いていた坂田精二郎監督(現・松本国際監督)の教えがありました。坂田監督はシダックスとセガサミーで捕手として活躍。シダックス時代は野村克也監督の下でID野球を学んでいます。 「高校時代の自分は漠然と練習をしていたところがあります。大学に入って思ったのは頭を使って練習をしないとうまくならないということ。坂田監督からいろいろなことを教わって、変わりましたし、考え方1つで、結果にも表れるようにもなりました」(伊藤) 高い注目度を受けて臨んだ明治神宮大会では初戦から豪快な打撃を見せます。九州共立大と対戦し、7回裏、広島に進んだ島内 颯太郎投手から決勝となる先制2ラン。犠牲フライを打つつもりで入ったら、本塁打になったといいます。そして準決勝の関西国際大戦では4打数2安打の活躍で、2009年以来の決勝進出。相手は初優勝を狙う環太平洋大となりました。
決勝戦で2ラン 本塁ベースで盟友と抱き合う
試合は劣勢で、1対1で迎えた6回裏に環太平洋大が3点を勝ち越されます。7回に1点を返し、迎えた8回表。まず小郷選手の適時打で1点を返し、3対4と1点差に迫り、伊藤選手に打席を迎えました。 「この場面で打つのが自分の仕事。小郷が出塁してくれていて、小郷は足がある選手。ストライクを取りに行くと思いました」 初球のストレートを振り抜くと、打った瞬間、伊藤は「手ごたえはありました」と本塁打を確信した伊藤は右手を突き上げ、大きく喜びを表した。この本塁打にスタンドは大きく盛り上がり、一塁側の立正大ベンチは選手全員飛び出し、喜びます。そしてホームインすると、伊藤選手、小郷選手は抱き合って喜んでいました。長い歴史のある神宮大会でも名シーンだと思います。 この2点を守りきり、2度目の優勝を決めました。そして最後、整列に向かう伊藤選手の目は潤んでいました。 「今までずっと苦しい日々だったので、それを思い出しました」 主将としてチームを引っ張っていた伊藤選手でしたが、悩む日々が多かったようです。 「4年生がいなければ、僕はずっとキャプテンはできていませんですし、本当に感しています」 4年生でミスがあればカバーし合う集団を目指しました。また控えの4年生たちにも感謝しました。応援団に入った選手たちはユニークな掛け声でスタンドにいるファンを笑わせるほどで、「スタンドにいる仲間も盛り上げてくれるので、本当に心強いです」と感謝の 気持ちを表していました。 この大会では10打数5安打、2本塁打4打点の活躍で、大会の主役となりました。勝負強い打撃の裏には坂田監督をはじめとした立正大首脳陣のアドバイスがありました。 「伊藤は試合にいるだけで存在感がある。4打席のうち1本は試合を決める一本を打てばいいよといわれまして。今まではチームのことを考えていたんですけど、もちろんチームのことも考えながら、自分がやるべき準備もしっかりと行おうと思いました」 この大学4年間について、「考え方1つで変わる人生だったと思います」と総括しました。伊藤選手はプロ7年間を終えて、通算11本塁打。22年に楽天へ移籍して、出場機会を増やしていますが、来年は一軍定着して、キャリアハイの活躍を見せてほしいと思います。 神宮大会は大学生にとって最後の大会になります。いろんな思いを背負って、大会に臨む選手たちが多く、熱戦を見ると感動します。今年の神宮大会もあと少しとなりました。今年の出場チームはどんなドラマを見せてくれるのか、しっかりと見届けたいと思います。