「自信が無くなるくらいの経験を求めて」常に向上心を持ち続ける、町田浩樹の原動力とは
「日本の指導者は選手より上にいるイメージ」
天野:ベルギーは当然言語の違いもあるけど、コミュニケーションは英語? 町田:ベルギーでは主に英語でコミュニケーションを取っていましたが、地域によってはフランス語やオランダ語が主流で、選手によっては英語が苦手な人もいました。そういう場合には、簡単なフランス語を使って指示を出すこともありますね。例えば、試合中に「右」「左」といったシンプルな指示をフランス語で伝えたり。最初は言語の壁を感じましたが、日々の練習や試合を通じて少しずつ慣れていきました。 天野:言語の壁がある中でも、うまくコミュニケーションを取ってたんだね。語学力は日本にいる時から鍛えてたの? 町田:高校時代に英語の基礎を学んでいたことが役立ちましたし、実際に使っていく中で徐々に慣れていきました。言語もそうですが、特にこっちでは感情をしっかりと表現することが求められます。日本にいた時は、感情を表に出さないタイプでしたが、こちらでは自分の意見や感情をしっかりと伝えることも大切だと感じていましたね。監督とも積極的にコミュニケーションを取るようになって、その点で自分自身も成長できたと思います。 天野:日本だとあまり自分の意見を強く言わないことが多いけど、感情表現も大事なんだね。海外の指導者の違いなんかはどう? 「日本人指導者と違うな」と感じる部分とかはあるのかな? 町田:イメージですけど、日本の指導者は選手より上にいるじゃないですか? 海外だと基本的には選手も指導者もフラットな立場で1対1のコミュケーションは取りやすいです。「監督室のドアはいつでも開いているから」と言ってくれてますし、試合に使ってくれなかった理由も聞いたりできる。コミュニケーションの頻度は、全然違うなと感じますね。
日本代表としての使命感を胸に、一人でも多くに夢と希望を
天野:ベルギーに来て3年が経つと思うけど、今後については何か考えているの? 町田:試練を求めて、常にレベルの高い環境に挑戦していきたいという気持ちは持っています。現状はユニオンとまだ契約が残っていて、自分だけの問題ではないので難しい部分ですが。でも、今の自分にとって次のステップに進むことが重要だと思っています。レベルを上げて、自信が無くなるくらいの経験を求めています。人間って一つの環境にずっといたら成長が止まってしまうと思うんです。 天野:そっか、次のステップに進もうとしているんだね。安心と安全ってパフォーマンスを発揮するためにすごく大事。だけどあえてそれを崩して、もう一回大きくしていこうとしているんだね。その姿勢があれば、まだまだ上にいくね。環境を変えることで、また新しい成長のチャンスが得られると思うよ。クラブでも、代表でも更なる活躍が楽しみだね。 町田:パリ五輪を見ていて、感動して泣きそうになることも多かったんですよ。そんな時にふと、自分もプロサッカー選手として、日本代表として多くの人に夢と希望を与える立場なんだなと感じました。なかなかプレーしている時には気づきにくいことかもしれませんが、幸せなことだなと。 天野:まさにその通り。試合中にどんなに厳しい状況でも、「もうダメだ」とは思っちゃダメだよ(笑)。マチがファンや周りの人たちにとっても、大きな影響を与えている。純粋に応援したくなる人だなって思うよ。 町田:そうですね。僕がプレーしている姿が誰かの勇気になったり、希望を与えることができるなら、それが一番うれしいです。これからも、自分にできることを全力でやっていきたいと思います。 (本記事はFootballcoachで公開中の動画より一部抜粋) <了>