連続増配企業だからといって素直に喜べない?「年平均成長率」を計算することで見えてくる個別株の“真実”とは【株式投資のプロが解説】
株式投資のために企業の業績を調べる際、各種数値の「年平均成長率」を計算してみることで、意外なものが見えてくることがあります。株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏が配当の推移を例に挙げて、具体的な計算方法などを解説していきます。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
連続非減配企業、連続増配企業、減配も増配もある企業を比較してみる
さっそく以下5社[図表1]の過去10年の配当実績から「年平均成長率」を計算し、今後の配当額の変化を予想してみることとします。 ちなみに、現時点で5社すべてが、株価1,000円、次年度予想配当30円、予想配当利回り3%であるとします。ただし、E社は上場して日が浅いため、記録が過去5年分しかないとします。
年平均成長率を計算してみる
年平均成長率は、以下の手順で計算することができます。 1.直近年度の値÷初年度の値 →初年度から直近年度の間にどれくらいの割合で値が増えたかを求める…これをVとする A社の場合、30÷30=1 B社の場合、30÷15=2 C社の場合、30÷20=1.5 D社の場合、30÷10=3 E社の場合、30÷23=1.2 2.初年度から直近年度の間に経過した年数を求める …これをtとする A社、B社、C社、D社はすべて9年 E社のみ4年 3.V^(1÷t)を求める →〔Vの1÷t乗〕年にどれくらいの割合で値が増え続ければ、tを経てVになるか求める…これをGとする A社の場合、1^(1÷9)=1 B社の場合、2^(1÷9)=約1.080 C社の場合、1.5^(1÷9)=約1.046 D社の場合、3^(1÷9)=約1.130 E社の場合、1.2^(1÷4)=約1.047 4.Gから1を引き、100を掛ける →1を引いて年間の成長分だけを求め、それを百分率に換算する…これが年平均成長率で、単位は%となる A社の場合、(1-1)×100=0 B社の場合、(1.080-1)×100=約8 C社の場合、(1.046-1)×100=約4.6 D社の場合、(1.130-1)×100=約13 E社の場合、(1.047-1)×100=約4.7