富山県射水市の新湊復興へ「イヤサー」 能登地震液状化被害の古新町、曳山まつり前に町内曳き
10月1日に富山県射水市新湊地域で開かれる新湊曳山(ひきやま)まつりを前に、能登半島地震の液状化被害が大きかった港町の山町「古新町」が28日、町内曳きを行った。住宅被害が相次ぎ、住民の転出が進んだ町を活気づけようと、若衆は威勢の良い「イヤサー」の掛け声で曳山を引いて復興を祈った。 町内曳きは、まつり当日に巡行しない道路を含めて町内をくまなく回り、町の繁栄を祈る行事。本番に向けた試し曳きを兼ねる。 海沿いの港町は、市内で液状化現象が特に深刻な地域。中でも被害が目立つ古新町西部地区は発災直後に道路が至る所でひび割れ、土砂があふれた。多くの住宅が傾き、転出を余儀なくされた世帯もある。町内曳きに間に合うよう、道路や電柱の工事が行われた。 住民は玄関先で巡行を見守った。地震後に他地区へ引っ越した野村佳江さん(51)は10月中に古新町西部の自宅を取り壊す予定と言い、「家がある間で最後の曳山を見ようと思って来た。やっぱり寂しい」と話した。
担い手たちは高さ約8メートルの曳山を気持ちを一つにして引いた。誘導責任役の濱野純さん(27)は「家がなくなった所もあるが、少しでも地域を活気づけられたらいい」と語った。