佐渡裕「1万人の第九」への思い 偉大な先輩の総監督回数超えへ
若い演奏家たちにサポートを
クラシック音楽のすそ野を広げてきた佐渡さんだが、若い演奏家たちへが育ち、スターも出てきてほしいと願う。「その時その時にやっぱり流行ってのが当然あるしスターがどんどん出てきてほしいなと思いますが、同時にベートーヴェンが、200年以上たった音楽を自分たちがやっているんで。クラシックという意味が源流的なそもそもの流れというか...」
それがロックやジャズ、ポップスになるなど、その源流にいるのが音楽と考えているという佐渡さん。「これからもピアニストであったり、何十年間という人生の中で輝いていくスターたちが現れてくるんだけど、そこの源流があるから、100年200年という時間愛されてきた音楽があるから、そのスターたちは輝いていけるわけですよね。なので、演奏する方も聴いていく方も、長い間愛されたものの魅力、そのことに気づいていけるような、そのことがすばらしいと伝えていけるような演奏でなければならない」とも語る。 また、そうしたことが認められていくよう、サポートも必要と考える。「僕はこうしたことは街の援助とかがなかったらやっていけないと思うんですよ。すべてを頼ってちゃいけないけど、こういうことにはサポートが必要。でも街であったり国であったり、そうしたところがサポートすることによって、たくさんの人の心が豊かになる。ここがすごく大きなことだと思います」
ヨーロッパで活躍する演奏家2人をゲストに
今回の第九ではドイツ在住でヨーロッパを中心に活躍する若きクラシック演奏家、アリス=紗良・オット(ピアノ)と石坂団十郎(チェロ)を招き、クラシック音楽の魅力を改めて伝える。このゲストには、佐渡さんの強い意向もあったとされる。 2人はドイツ人と日本人のハーフ。今年は戦後70年という年で、ベートーヴェンが生まれたドイツと日本、そうしたことが結び付けられているということを、ここでもう1回確認したかったという。「向こうで生まれ育った日本のDNAをもったヨーロッパでも活躍している彼らを見て頂きたいと思いました」と佐渡さんは話す。 「オーケストラというのは音楽をやる集団で最大の大きさをもった音楽家の集まりです。それに加えて今回は1万人の歌声でヴェートーヴェンの第九、ほんとに音楽界にとって世界遺産の作品でしょうね。この曲に全力で向かいます」と意気込む佐渡さん。 最後に「人はそれぞれに違うことを考えて違う意見をもち、それが僕らの大前提で、だからこそお互いに耳を傾けて感じあって思いやりをもって生きていかなきゃいけないと思うし。しかも自分のやりたいこと、夢、そうしたものを持って輝いていかなければならない。それを美しいと喜びと感じさせてくれるのが音楽の役割だと思っています。生きてることの証、様々な人と一緒に生きてることの喜び、その証が音楽だと思います。そうしたことをいっぱい表せる本番にしたいと思います」と語り、再び練習へと向かっていった。 サントリー1万人の第九は、12月6日午後3時から大阪城ホールで行われる。また、この模様は同23日午後1時55分からMBS毎日放送テレビなど系列6局ネットで放送される予定。