6月全国消費者物価はやや上振れ:円安阻止を重視する当面の金融政策姿勢
円安阻止に重きを置いた当面の金融政策
現時点では、日本銀行は為替動向に重きを置いた金融政策を行っているとみられる。 足もとで円安の動きに一服感がみられるが(コラム「連日の為替介入観測、米国利下げ観測で歴史的円安の終わりが見えてきたか」、2024年7月16日)、この先再び円安傾向が強まれば、円安を食い止める効果も狙って、日本銀行は7月に、国債買い入れ減額と同時に追加利上げを実施するとの観測が金融市場で強まる可能性があるだろう。 他方、日本銀行は政策を小出しにすることで、円安のけん制効果を持続させようと狙っている可能性も考えられる。この場合には、7月には国債買い入れ減額のみを決定し、そのうえで9月以降の追加利上げを示唆することも考えられる。 現状では後者の可能性の方がより高いと見て、追加利上げは最短で9月と考えておきたい。物価高で個人消費が弱い中、政府が国民に不人気な利上げを望んでいないことも、日本銀行の追加利上げを当面制約することが考えられる。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
木内 登英