「新しいふるさとを紹介します」。NPO法人が移住希望者と受け入れる「いなか」をマッチング/大阪
「いなか暮らしをしたい」という夢の実現をめざす人と、新しい人材を呼び込むことで地域の活性化を進めたい地方自治体を、マッチングする活動が静かに浸透し始めている。シニア世代から若手子育て世代へ広がりをみせる「新しいふるさと」願望。大阪の「新しいふるさと」創造の最前線へ―。 このマッチング事業を手掛けるのは、NPO法人ふるさと回帰支援センター(本部・東京都千代田区、2002年設立)が運営する大阪ふるさと暮らし情報センター(大阪市中央区本町橋、井内秀起所長)。主に西日本地域の移住者受け入れ事業に関する資料がずらりと並ぶ。シティプラザ大阪1階にあるため、レストラン利用者などもぶらりと入りやすい。同センター主任の勝見侑美(ゆみ)さんが、センターの役割を話す。 「いなか暮らしを希望する人は多いのですが、いざ移住するとなると、どこがいいのか判断しにくく、移住先の住まいや仕事を探すのもむずかしい。一方、新しい人材を呼び込んで地域活性化をめざす地方自治体や地域団体が増えた半面、都市圏の移住希望者との接点は作りにくい。そうした移住希望者と受け入れる地方の仲を取り持つマッチング事業が主な役割です。マッチングが成功するよう、何でも相談に乗るとともに、移住希望者向けのセミナーを開いています」。同センターは09年オープンし、昨年度の利用者は9000人。ぶらり来所派が6000人で、相談をした人が2000人、セミナー参加者が1000人だ。
セミナーほぼ毎週開催、移住体験者の声を聞く
セミナーはほぼ毎週開催。移住希望者を受け入れる地方自治体が、「わが町の良さ」や「受け入れ態勢の充実」などを、20人ほどの参加者にプレゼンテーションする。 「自治体側担当者からの説明に加え、移住された人の体験談を聞けるのが特色。周囲の環境や移住前後の苦労など、移住希望者にとって実際に住んでみなければ分からない課題について、生きた情報を集められるのが魅力です」(勝見主任) 同センターを通じて、11年4月、大阪市内から滋賀県米原市へ移住した男性は、古民家を改修して、念願のカフェを開業。地域の特産品と自身で栽培した食材で料理をふるまい、地元の人たちとの交流を深めている。移住先の選定を含めて親身のアドバイスを提供した勝見さんとは、今でも連絡を取り合っているという。