40歳以上の66.7%もの人が悩まされている「夜間頻尿」の知っておきたい3つの“傾向と対策”
主な原因は2つ、「尿道括約筋の衰え」と「骨盤底筋の緩み」です。腹圧性尿失禁が現れるのは、ほとんど女性です。女性は尿道が短く、出口まですぐなので、少しお腹に力が入っただけで尿が出やすいからです。特に、 ・40歳以上 ・肥満ぎみ ・2回以上の経腟分娩の経験がある こんな女性に、よく出る症状です。 尿道を締めている「尿道括約筋」が「腹圧」に負けてこじ開けられてしまい、尿がもれ出やすいのです。尿道括約筋の「括」の字は、「くくる」とも読みます。加齢や出産などによって、文字どおり「括る力」が弱まってしまった尿道括約筋は、尿道を締めることが難しくなり、少しの腹圧にも負けてしまいます。
しかも、骨盤底筋が緩んでくると膀胱や尿道が下がってきて、骨盤底筋は尿道をしっかり支えられなくなります。そうなると、尿道はグラグラして、うまく閉じることができません。 腹圧性尿失禁には、骨盤底筋トレーニングと減量が有効です。骨盤底筋がしっかりしていれば、腹圧がかかるのと同じタイミングで、尿道を閉鎖させる尿道括約筋の圧が上がります。ですから腹圧に負けて、尿がもれ出ることはありません。骨盤底筋が鍛えられれば、尿道括約筋の締める力も戻ってきて、尿道を閉じることができるようになります。
膀胱に腹圧がかかり続けていると、それだけで膀胱や内臓が骨盤のほうに下がることがあります。骨盤底筋トレーニングは、それに抵抗することにもなります。 なお、肥満体だと、少しの振動でも膀胱が圧迫されます。運動やダイエットで脂肪を減らすことができれば、お腹が膀胱を圧迫することがなくなります。お腹の重さで骨盤底筋に負担がかかり、骨盤底筋を緩ませることも防げます。
髙橋 悟 :日本大学医学部泌尿器科学系泌尿器科学分野主任教授