40歳以上の66.7%もの人が悩まされている「夜間頻尿」の知っておきたい3つの“傾向と対策”
「夜寝てから朝起きるまでに、トイレのために1回以上起きる」。これが「夜間頻尿」の定義です。ただし、起きる予定時刻の少し前に「トイレに行きたいと思って目覚め、トイレに行ったら寝床には戻らない」のは「1回」に数えません。トイレの後でまた眠ったときを「1回」と数えます。 「1回起きるだけ」なら、それほど困らない人が多いかもしれません。実際、あまり心配しなくてもいいと思います。困るのは、2回、3回、それ以上起きる場合です。なぜなら、夜間頻尿は睡眠の質を落とすので、昼間の活動に影響が出るからです。日常生活に影響することが、夜間頻尿の最も大きな問題です。
睡眠には「深い眠り(ノンレム睡眠)」と「浅い眠り(レム睡眠)」の2種類の状態があります。ノンレム睡眠とレム睡眠は交互に現れるもので、7時間眠るとしたら、ひと晩の眠りのなかでノンレム・レムのサイクルが4~5回くり返されます。 最低3時間は眠らないと、1サイクルは回りません。トイレのために何度も起きる人は1サイクルを確保できないので、睡眠の質が落ち、寝不足状態になるのです。 夜間頻尿に悩む人の数が多いのは、原因が2つも3つも重なりがちだからです。主な原因は、次のようなことです。
原因①加齢により「夜は尿を作らせないホルモン」が減る 本来なら夜間の尿量は、日中の尿量に比べると極端に少ないのです。睡眠中には「抗利尿ホルモン」という「尿を作らせない物質」が分泌されて、腎臓から出る水分量が抑制されるからです。 ざっくり言うと1日の3分の1は寝ているので、抗利尿ホルモンの働きがなければ、夜に1日の3分の1に当たる量の尿が出ることになります。1日の尿量が1500mlなら夜に500ml出る計算ですが、そんなに出るなら睡眠中に1~2回は起きるでしょう。起きなくて済むのは、抗利尿ホルモンが出ているからです。
夜の尿量は、どれくらいでしょうか。夜、トイレに行くのであれば、そのときに出た量を測って、それを1日の尿量で割り算すると、「夜間尿量率」がわかります。これが33%以上あると、「夜間多尿」です。 実は、若いときには就寝中にたくさん分泌されていた「抗利尿ホルモン」も、加齢とともに減っていきます。そのため、夜に作られる尿量が増えるのです。この「抗利尿ホルモン分泌の低下」による夜間多尿が、夜間頻尿の原因になるわけです。