米利下げの確信得るまで強気の賭け手控え-痛手続きの債券トレーダー
米利下げ、年内は12月の1回のみ-ドイツ銀とBofAが予想大幅修正
12日の相場上昇にもかかわらず、10年債利回りは4.52%で終了した。4.5%の水準で予想されていた買いが入らなかったか、買いが入っても一斉の売り圧力に対抗するには少なくとも十分に力強くなかったと考えられる。
マッコーリー・フューチャーズUSAの世界通貨・金利ストラテジスト、ティエリー・ウィズマン氏は「ディスインフレの流れが失速し、3カ月連続で2%の物価目標を大きく上回り、インフレ抑制の『最後の1マイル』は達成が難しい可能性にトレーダーは慣れつつある」と説明。現状を踏まえると、10年債利回りが4.75%に上昇する事態は「それほど無理のある想定ではないと考えられる」と話した。
ボストン連銀のコリンズ総裁は12日、金融緩和の開始に必要な確信を得るには、以前考えていたよりも時間がかかるかもしれないとする見方をあらためて示した。11日にはニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が、ごく近い将来に政策を調整する明白な必要性はないと語っていた。
15日には3月の米小売売上高が発表され個人消費の動向が明らかになるほか、16日には同月の住宅着工件数の発表があり、住宅ローン金利が引き続き高水準にある状況で住宅市場の現状が示される。
中立金利
10日に公表された3月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合議事要旨からは、インフレ率が2%の目標に向けた確固たる道筋にあるとのさらなる証拠が得られるまで、利下げに消極的な当局者の姿勢が浮き彫りとなった。
一方、昨年7月までの積極的な利上げキャンペーンにもかかわらず、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる金融当局の政策が労働市場の需給緩和のために十分抑制的かどうか疑問視する声が高まっている。
トレーダーの多くは現在、景気の加速にも減速にもつながらない中立金利について、新型コロナウイルス禍以前よりも一段と高い水準にあると推計している。