米利下げの確信得るまで強気の賭け手控え-痛手続きの債券トレーダー
(ブルームバーグ): 底堅い経済データの発表で再び痛手を負った米国債トレーダーは、大口の強気の賭けを新たに行うのに先立ち、米金融当局による利下げが差し迫っているとの明確で決定的な証拠を目にしたいと望んでいる。
10日に発表された3月の米消費者物価指数(CPI)のうち、変動の激しい食品とエネルギーを除くコア指数は3カ月連続で予想を上回る伸びとなり、米国債利回りは先週、年初来の高水準に急上昇した。
こうしたショックに投資家は慎重姿勢を強め、米国債先物のショートポジションを積み上げた。最近の米長期債入札の需要低調も弱気ムードをあらためて裏付けた。
ナットアライアンス・セキュリティーズの国際債券責任者、アンドルー・ブレナー氏は「米国債市場を今支配しているのはショートだ」と指摘した上で、「金利を引き下げなければならないとの見方を支えるようなデータが必要だ」と述べた。
12日には、中東情勢緊迫化を受けた安全資産への逃避の動きを背景に米国債相場の下落に歯止めがかかり、利回りは低下した。イランが13日、イスラエルに前例のない攻撃を行ったことで不安が強まり、事態がエスカレートすれば米国債がさらに買われる可能性がある。
ただ、現在の経済情勢の下では、金利がより長くより高い水準で推移し、債券相場を圧迫する方向にあり、状況が変化するとの説得力ある証拠がない限り、流れに逆らおうとする投資家はほとんどいないと見受けられる。
トレーダーは年初時点で最大6回、計1.5ポイント相当の年内利下げの可能性を織り込んでいたものの、現時点では利下げ幅が計0.5ポイントに達するかどうかも懐疑的だ。ウォール街のエコノミストの大多数も利下げ見通しを後退させ、利回りが昨年10月のように5%を再び突破する可能性を含め、不穏なシナリオが想定されつつある。
米利下げ見通しの再調整は債券相場に大きく響いている。ブルームバーグの指数によれば、先週の米国債相場は約0.6%下げ、年初来では約2.6%安となっている。昨年の上げ幅4.1%の半分余りを消したことになる。