アサヒ、ノンアルビールで強気の4ブランド 「酔いの調節弁」需要も
アサヒビールが4月に全国発売したノンアルコールビール「アサヒゼロ」が記録的なヒットを飛ばしている。年間目標だった60万ケース(1ケース大瓶20本換算)の販売をわずか3カ月で達成し、12月までの販売計画を当初比2倍の120万ケースに上方修正した。 【関連画像】アサヒビールの4つのノンアルコールビールの特徴、価格など アサヒゼロは通常のビールより約2倍濃厚なビールをつくった後、アルコール分だけを2回取り除く特殊な製法を採用した。ビール酵母を発酵途中で分離するなどの従来製法に比べ、よりビールに近い味の深みを出せるという。 ●試飲した2割が本物のビールと回答 4月にはアサヒゼロを提供する体験型施設を東京都、福岡県、愛知県、広島県に期間限定でオープンした。ノンアルビールのアサヒゼロと「ドライゼロ」、通常ビールの「スーパードライ」の3種類の商品を名前を伏せた状態で飲み比べ、どれが通常のビールか当てるというクイズも実施した。 1カ月間で2万3973人が挑戦し、アサヒゼロをビールと間違えた人は21%の5041人だった。ビール党の記者はすぐに正答できたが、酔った状態であればノンアルと気付かないだろうと感じた。 ノンアルビールは道路交通法改正で飲酒運転が厳罰化されたのをきっかけに、2000年代から普及し始めた。キリンビールの「キリンフリー」やサントリーの「オールフリー」、サッポロビールの「プレミアムアルコールフリー」など各社が続々とブランドを立ち上げた。 アサヒは黎明(れいめい)期こそ苦戦したが、12年に発売したドライゼロがヒット。ノンアルビールの売上高トップブランドへ急成長した。それだけにアサヒゼロはカニバリゼーション(共食い)を起こす可能性もあった。 ところがアサヒゼロが発売された4月、ドライゼロの容量ベース販売は前年同月比で25%増加。その後も同10%前後の増加を維持する。共食いを防いだのはノンアルビールへの好みでターゲットを分類する戦略だ。