創立111年最古の水族館、来場8百万人 源流から深海再現、発光生物の研究も、富山
111年前に創立された富山県魚津市の「魚津水族館」は、現存する日本最古の水族館として知られる。北アルプスの源流から富山湾の深海に生息する生物など多様な展示を楽しめ、統計の残る1981年の2回目の再建以降、今年4月に来場者数が累計800万人を超えた。ホタルイカをはじめとした発光生物の研究拠点としても有名で、後にノーベル賞を受賞した学者も訪れた。(共同通信=金森純一郎) 北陸線全線開通の記念行事会場として1913年に開館。当時、日本海側初の水族館だった。太平洋戦争中の電力・資材不足、財政負担もあり1944年の閉館後に取り壊された。1954年に再建され、その後、2度目の建て替えを経て現在の建物は3代目にあたる。 展示では北アルプスから富山湾の深海に至る高低差約4千メートルの環境を観察できる。入館すると、富山の急流河川や湧水帯を再現した水槽があり、飼育員が実際の生息地で採集したオオヨシノボリ、カンキョウカジカなどが来館者を出迎える。
田んぼや海岸をテーマにした水槽の先に広がるのは、大型の魚が遊泳する「富山湾大水槽」。先駆けて導入した透明の水中トンネルがあり、群れで泳ぐブリなどを下から眺め、迫力満点に楽しめる。 富山湾の生物研究も盛んに行われてきた。発光生物が定期的に取れる地域は世界でも珍しく、ホタルイカの漁場が近い同館には国内外から多くの研究者が訪れる。緑色蛍光タンパク質(GFP)をクラゲから発見し、ノーベル化学賞を受賞した故下村脩(しもむら・おさむ)氏は、同館でウミサボテンの研究に取り組んだという。現在はホタルイカの養殖を目指して、生態の研究も進められている。 不破光大(ふわ・みつひろ)学芸員(45)は「研究の成果や意義を身近に展示できるのもこの水族館の強みの一つ。子どもから大人まで楽しめる作りになっているので、多くの人に来場してほしい」と話した。