世界の25年ニッケル需給、10万4000トン供給過剰。インドネシア増産で過剰幅拡大ー住友金属鉱山予測
住友金属鉱山は、2024~25年のニッケル世界需給予測をまとめた。需給バランスは24年が8万6千トンの供給過剰、25年が10万4千トンの供給過剰と予測した。23年は12万トンの供給過剰だった。24年はインドネシアの含ニッケル銑鉄(NPI)の増産が継続するが、ニューカレドニアや豪州などでの生産拠点の操業停止に加え、中国のクラス2ニッケルの減産などから3月の前回予測(15万1千トンの供給過剰)に比べ余剰幅が縮小すると見た。25年は中国のステンレス需要の回復を見込む一方、インドネシアの新規製錬所の増産でクラス1ニッケルの供給量が増加し、余剰幅が拡大すると予測した。 24年のニッケル需給は、供給量が340万2千トン(前年比4・2%増)、消費量が331万6千トン(同5・5%増)と予測した。消費量は前回予測並みと見込むが、供給量はニューカレドニアやドミニカのフェロニッケル製錬所の操業停止に加え、10月からBHPのニッケル事業会社が操業停止に移行した影響を反映し、前回予測比で約10万トン下方修正した。 供給のうち、NPI生産は中国が32万2千トン(同19・9%減)、インドネシアが149万9千トン(同18・8%増)と予測。NPIのマット化を経たクラス1ニッケルの供給量は前年から数万トン増え、30万トン強になると見ている。丹羽祐輔執行役員(金属事業本部副本部長兼ニッケル営業・原料部長)は「クラス2の需給はおおむねバランスする見通しで、25年も同様の傾向になると見ている。余剰バランスは主にクラス1の余剰によるものと推測する」と話した。 需要面では、世界のステンレス粗鋼生産を6038万4千トン(同3・3%増)、このうち中国の生産を3720万トン(同1・4%増)と想定。電池用途は前年比約5万トン増の約47万トンと予測した。 25年のニッケル需給は、供給量が365万4千トン(前年比7・4%増)、消費量が355万トン(同7・1%増)と予測。供給のうち、NPI生産は中国が30万6千トン(同5%減)、インドネシアが166万8千トン(同11・3%増)と想定。NPIからのクラス1ニッケルの供給量は微増するが、24年と同規模にとどまると見た。需要面では世界のステンレス粗鋼生産を6467万3千トン(同7・1%増)、このうち中国の生産を4021万3千トン(同8・1%増)と想定。電池用途は前年比約5万トン増の52万トンと予測した。 丹羽氏は「供給量は中国でのクラス2のさらなる大幅減産はないと見る一方、インドネシアはNPIを中心に増産が継続する。消費量は中国のステンレス生産が24年に足踏み状態だったが、同国の景気刺激策などによってある程度戻ると想定した」と説明した。