<高校野球>石岡一、実業系学校の「文武両道」を示す 熊本西は死亡事故の状況で質疑も
◇21世紀枠の選考経過<枠3、候補9> 第91回選抜高校野球大会の21世紀枠の選考は東日本(北海道、東北、関東・東京、東海、北信越)から行われた。特別選考委員の5点満点の評価表でポイントの高かった石岡一と清水桜が丘を中心に検討を進め、石岡一を選出。普通科に加えて園芸科と造園科があり、農場実習などで選手全員が練習にそろうのが難しい中、集中した練習でカバーしていることが決め手になった。 【「若いっていいな 甲子園おめでとう」写真特集】 出場32校 喜びの表情を見る 同委員のあさのあつこさんは「文武両道の『文』を進学率や点数だけでなく、広く多面的に求められる時代を感じた」とコメント。同校は実業系学校の「文武両道」を示した。 西日本(近畿、中国、四国、九州)からは富岡西を選んだ。「野球を通じた町づくり」に取り組む徳島県阿南市のシンボルとして親しまれている点が評価された。2001年と08年に21世紀枠地区候補校に選出され、今回が3度目となる実績も後押しした。 最後の1校はそれまでの選考で評価の高かった清水桜が丘、熊本西、平田の3校を比較検討し、熊本西に決まった。16年の熊本地震では当時中学生だった選手も被災したが、復興ボランティア活動に取り組むなど困難克服に努めたほか、清掃活動など地域貢献が評価された。 同校では昨年11月に練習試合で2年生部員が頭部に死球を受けて死亡する事故があり、推薦理由説明会では事故後の状況などについて質疑もあった。同委員のヨーコ・ゼッターランドさんは「事故と選考は関係ないが、競技中に限らず不慮の事故は起きてしまうもの。乗り越えるすべを学んでほしい」と訴えた。【石川裕士】 ◇21世紀枠の選考基準 センバツの招待大会としての特性を生かし、高校野球の模範的な姿を実践している学校を以下の基準に沿って選ぶ。 (1)秋季都道府県大会のベスト16以上(加盟校が129校以上の都道府県はベスト32以上)(2)以下の推薦例のいずれかに当てはまる学校。▽少数部員、自然災害など困難な環境の克服▽学業と部活動の両立▽数年間にわたって試合成績が良好ながら、強豪校に惜敗するなどして甲子園出場機会に恵まれていない▽創意工夫した練習で成果を上げている▽部外を含めた活動が他の生徒や地域に好影響を与えている。