【薬剤師が教える】貧血をどうにかしたい人が選ぶべき市販薬・漢方薬の選び方は?
鉄欠乏性貧血が気になる... 症状緩和のための市販薬の選び方は?
編集部: 鉄欠乏性貧血に効果のある市販薬がありますか? 西さん: はい。市販薬には、鉄欠乏性貧血に効果のある薬があります。それは主に、鉄剤と漢方薬になります。 編集部: 鉄剤は貧血のどんな症状におすすめですか? 副作用も教えてください。 西さん: 鉄剤は、めまい・ふらつき・動悸・息切れがあり疲れやすい方におすすめです。副作用には、胃のむかつきなどの消化器症状や、黒色便、便秘などがあります。ですが、鉄剤を飲みはじめて便が黒色になったとしても心配する必要はありません。 編集部: 漢方薬もあると聞きましたが、鉄剤との違いは何ですか? 西さん: 漢方薬は、血や気のめぐりを良くして体力を補ったり食欲を増加させたりします。女性特有のホルモンバランスの乱れを整えることで体質改善につながり、冷えなどの貧血に伴う症状も改善します。 編集部: おすすめの漢方薬を教えてください。 西さん: 「加味帰脾湯(かみきひとう)」は、疲れやすくイライラなどの精神的な症状がある場合におすすめです。 「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」は、体力が低下し食欲もないような貧血に「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」は、体力があまりなく冷え性やむくみの気になる方に効果的です。 市販の漢方薬には、漢方を構成する生薬成分に加えて、鉄剤も一緒に配合されている商品もあります。成分をよく確認してみましょう。
市販薬と処方薬の違いは? どっちを選ぶべき?
編集部: 鉄欠乏性貧血に対する処方薬について教えてください。 西さん: 鉄欠乏性貧血の治療は、基本的に鉄剤から開始します。市販薬はほとんどが錠剤ですが、処方薬には錠剤以外にシロップや粉薬、注射薬もあるので、錠剤がのみにくい場合も安心です。 また、食事の影響を受けやすい鉄剤が食後でも吸収が落ちないように工夫された薬や、鉄剤の副作用である胃のむかつきを軽減するために工夫された薬もあります。 編集部: 市販薬を選ぶメリットは何でしょうか? 西さん: 市販薬には、鉄剤だけでなく鉄の吸収を良くするようなビタミンCや、ビタミンB12・葉酸が配合されているものもあります。なぜなら、貧血を改善するためには鉄分を補うだけでなく、赤血球を作るのを助けるビタミンB12や葉酸も必要になるからです。 1粒の中に複数の成分が配合されているので、手軽に必要な成分をとれるという点が市販薬を選ぶメリットといえます。 編集部: 医療機関を受診する目安はありますか? 西さん: 貧血は改善に時間がかかりますが、市販薬を2週間程度服用しても症状改善が見られない時は医療機関で受診しましょう。 貧血は鉄欠乏性貧血だけではなく、別の病気が隠れている可能性もあります。医療機関では検査や診察をして薬を処方するので、気になる症状がある場合は初めから受診するのをおすすめします。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 西さん: 「貧血かな?」と思うような症状があるときは、鉄剤の補給などの貧血対策からはじめてみましょう。食生活の見直しも重要です。なかなか症状が改善しない、日常生活に支障があり困っている場合は早めに医療機関で受診してください。