「精神と時の部屋」レスリング清岡幸大郎、パリ五輪前哨戦Vで進化実感「世界王者も倒せるとわかった」初戦黒星も快進撃
レスリング男子フリースタイル65キロ級パリ五輪代表の清岡幸大郎(23)=三恵海運=が9日、優勝したランキング大会(ハンガリー)から成田空港に帰国した。今大会は1次リーグ初戦で黒星を喫したものの、その後は世界王者のハンガリー選手を撃破し、決勝トーナメントでも快進撃で優勝。自身ほぼ初めての世界トップ級との手合わせを最高の形で締めくくり、「優勝という結果どうこうより、いい経験ができた。濃縮された1日だった。全部含めてパリにつながるいい大会になった」と手応えを口にした。 出発前日まで所属先の神戸、地元高知での壮行会に出席するなど慌ただしい中で迎えたが、五輪前哨戦のマットで金メダルへの感触をつかんだ。初戦こそ東京五輪銀メダルのアリエフ(アゼルバイジャン)に敗れ、「(初戦は)相手はレジェンドで強いとわかっていて、(その)次に当たるのが世界王者で、なかなか自分を出し切ることができなかった」と振り返ったものの、以降は吹っ切れて覚醒。世界王者をはじめ強豪を撃破し、「自分のやるべき事をビビらずに(やって)、相手の方に詰めていくことができれば、世界チャンピオンでも倒せるってこともわかった。パリで自分がどういう戦い方をするべきか、決勝も含めて(手応えを)つかめた」とうなずいた。 「主人公になりたい」と、人気漫画「ドラゴンボール」の孫悟空に憧れる23歳の新鋭。黒星、殊勲星、決勝の0-8からの大逆転星など濃密な5試合を経験した今大会を「精神と時の部屋」となぞらえ、「あの1日で勝ちも負けも味わって、これまでやったことない選手ともできて(経験が)濃縮されていた。自分でも成長を実感できたし、1日が一瞬でした」と、パワーアップして帰ってきた。