愛する静岡・焼津で音楽フェス、漁港使い 出身のアーティスト奔走し実現、9月開催
静岡県焼津市の焼津漁港で今年9月、音楽とともに港の風景や名産を楽しむフェス「MINATO RISE(ミナトライズ)」が開かれる。実行委員長を務める市出身でアーティストのとつかうまれさん(28)が地元を盛り上げようと、2年前からさまざまな団体を訪ね歩き開催にこぎ着けた。「フェスを定着させ、焼津を楽しんでもらうためのハブになれば」と意気込む。(共同通信=大石亮太) とつかさんは大学進学までの18年を焼津で過ごした。現在は東京都世田谷区の下北沢を拠点に音楽活動を行うが、「魚がおいしく、温泉もあり、自然も豊か」と愛を語る地元に「生の音楽を届けたい」と思い続けていた。 人気バンド「氣志團(きしだん)」が地元・千葉県をフェスで盛り上げる姿を見て、焼津での開催を思い立った。成功すれば数億円もの経済効果を生み出せ、「好きな音楽で少しでも地元に貢献できれば」と2022年初めから準備を始めた。 「広い敷地があり、駅から近い」と焼津漁港に着目したが、前例がない「漁港フェス」のため、漁協や行政の理解を得られず難航した。所有ギター約15本や高級アンプを売って生計を立てながら、2年以上関係先に何度も足を運んで協力を取り付けた。協賛企業なども増え、多くの人が成功に向け走っている。
出演交渉も順調に進み、NHK紅白歌合戦に出場経験のあるアーティストなど10組ほどが現在参加予定。飲食エリアも設け、港で水揚げされる魚をPRするため県内の海鮮丼有名店が出るなど、音楽とともに焼津の魅力を感じられる構成にした。3月から始めたクラウドファンディングは、目標(100万円)の倍以上が集まり、弾みがついた。 とつかさんは9月の成功の先も見据える。「焼津にはこのフェスがあるという町の誇りにしたい。地元の未来を後押しできればうれしい」